盆栽

先日、みやこめっせで盆栽展なるものが催されていた。休日に時間が空いたとはいえ、それで盆栽展を見ようと思ってしまうところが同世代の知人とイマイチずれてしまう理由なのだろうな。


出展盆栽作品は全て撮影禁止。別に退色するわけでもないし、意匠を盗用できるものでもないし、撮影しても盆栽に害はないはずだ。しかし来館者が殆ど60歳以上のようだったので、彼らが観光地でやるように巨大なカメラを構えて撮影している姿を想像すると、やはり撮影禁止は英断だと思った。


入口に1m以上の背丈のある巨大なブナの盆栽が置かれている。その横には「友愛」と書かれた色紙。なるほど。鳩山由紀夫元総理大臣のものらしい。といっても樹齢が相当いったブナなので父か祖父に譲り受けたのだろう。彼がどれだけ手入れしているかは定かではない。


その二つ隣りにはこれまた立派な五葉松の盆栽が展示されている。盆栽協会会長、河野太郎とある。どうやら政治家は盆栽が好きらしい。国政は盆栽のようにすぐ結果が出るものではなく辛抱が求められるだとか、そんなことを尊大な態度で言っているのかね。盆栽の手入れは他の人にさせていそうだ。


樹に比べて随分容積の少ない鉢に植わっていてもあれだけ見事に葉を茂らせるのだから植物の生命力とはたいしたものだ。植え替える際には根を切り詰めて、根を張ろうとする樹の生命力を引き出すのだそうだ。欧米では盆栽を植物を奇形のように矮小化させたものだ、植物の纏足だと評する向きもある。小生は纏足のような病性は感じないが、むしろ根を刈り込み続けて生命力を引き出すその峻烈さを植物への虐待として批判するほうが理解できる。


展示の横にはなかなか広い即売所が設けられている。小さな10㎝ほどの楓
の小盆栽なんかでも2万円ほどの値がついていて高さに驚いていると、店の主人からそれは12年は経っている品だといわれた。時間が高密度に凝縮されたようなものなのだな。

にょろにょろとした小さな松の盆栽が3000円以上。手が出ない。自然の造形を盆の中に表現するのが盆栽だというが、自然界でこんな枝を伸ばす松などみたことない。詭弁か。


500円でハマボウの寄せ植え盆栽を買った。葉の染まり方がきれいだったもので。我が家でも多肉植物をもっと盆栽風に仕立ててみようか。懸崖とか非線対称で動きのある形にしないとそれらしくならないのだろうが。