天龍寺

11月半ばともなると観光客でごった返す。東福寺清水寺永観堂などと比べればたいしたことはなかろうと高をくくっていたので人出の多さに面食らう。恐らくは嵐山トロッコ列車に乗り継ぐ客がついでに立ち寄ることができるからかもしれない。


紅葉はまだ樹の頂が一部だけ紅く染まっているだけで盛りよりも2週間は早い。しかし紅葉は11月だという先入観を持つ東京など遠方から来る観光客は、緑の紅葉を観て帰る。そんなわけで、採取しようにも種が成熟した紅葉がなかった。



いちいち捌き切れないからだろうか。御朱印が全面判子式であったのには些か興醒めした。これではますますスタンプラリーだ。毛筆ですらすらと書いてくれる筆跡とそれぞれ異なるデザインが好きなのに。


天竜寺の目玉は加藤又造による天井の龍の絵もさることながら、広い庭園と築山だろう。草木には細かく品種名が記された立て札があり、名と実物を見比べて歩くのも楽しい。


天竜寺では写経もやっているらしい。写経に参加する者だけ、後醍醐天皇廟の中の立派な虎の襖絵を間近に拝められる。

もうヒステリックなほどに「何何するべからず」「〜を禁ず」と貼り札や立て札がしてある。それが何やら滑稽で、面白くもある。参拝者の礼儀の無さは恥ずべきことなのだろうけれど。