白河 Gospel


情緒のあるカフェにいくと心が躍る。自分にとってカフェは珈琲の味の良さよりも雰囲気が大事。銀閣寺よりほど近い鹿ヶ谷通りに建つ洋館の一階にアンティークショップカフェ、二階にもカフェが入っている。



外からくると薄暗さに戸惑うぐらいだが、人が心安らぐ暗さというのをよく理解している。随所にスタンドランプが配置され、お互いの表情は見えても他のものが意識の外に消える。机と机が十分に離れており、他の客が気にならない。


かつて邸宅だったようで、現役の暖炉、広いカウンターキッチンを活用した見せる厨房、大きなダイニングテーブル、出窓、角に突き出たティールーム。そして焦茶色の古色のある木製の床や家具。俄に寄せ集めたのではなく、昔からそうであったかのように統一感をまとって馴染んでいる。




嫁さんと義母と連れ立っていったが、ことのほか悦んでくれた。





大抵、ここでは音楽が流れている。レコードプレーヤー、真空管アンプ、そしてキャビネットと一体の巨大なスピーカー。音量は大きいのに、不思議と会話の邪魔にならない。音に角がないというかとろみがあるというか。これがアナログの持つ風味なのか。


夜24時までやっている上に、18時以降は近くの市営駐車場を無料で使える。車で来やすい中心地から離れた店というのも利用価値が高い。


趣味の良い邸宅道楽に励み立派な洋館を遺してくれた昔の金持ちに感謝。孫正義氏、楽天の三木谷氏、ロッテやサントリーの創業者達。徹底した合理主義ではなく、こういう文化財形成に理解のある富豪は誰がいるのだろうか。