趣味の傾向

ただ、あまり同世代の仲間を見つけづらい趣味ではある。同じ世代で陶芸やってる人なんて、本職で目指している人ばかり。多肉植物も聞かんな。寺や遺跡巡り、旅行になるとようやく好きそうな仲間がみつかる。


なぜこれらの趣味が好きなのか考えてみた。


おそらく、世間一般の大概の事が時間が経つことを否定的に見ているのに対し、古くなることが肯定的な価値を持つからではないだろうか。基本的には世の中は新しいものを良しとしている。家屋も20年も経てば評価額はゼロになるし、大概の工業製品は新しくスペックの高いものが好まれる。傷も汚れも無いほうが望ましい。食材は鮮度が命であり、日付が変わると賞味期限の切れた食材は大量廃棄される。大概のものは経年劣化は否定的な価値しか持たない。女性すら若いほどもてはやされる。芸能界のモデルやアイドルなんぞをみると痛ましい。そういう若く新しいものが賛美され、古びたものが処分されていくのが忍びなく、そんな風潮にどこかで抗いたい気持ちがある。


そんな中で器の世界では貫入、染みや経年劣化を器の成長として愛でる。多肉植物も何十年もかけて徐々に育っていく姿に安らぎ、木質化や表面の風化は金で買えない個性だ。そんなわけで毎年花を咲かせては植え変えを繰り返すような一年草には全く興味が持てない。ピカピカの世界一のランドマークよりも、朽ちた遺跡のほうがかっこよい。写真撮影は、その瞬間を形に留めるという意味では逆かも知れんが撮った写真を観て昔を懐古したいのだと思う。自分はかなり嫌世的で後ろ向きなのだろうか。


たぶん、寝かせて美味くなるワインやウィスキーの醸造なんかもやってみたら好きになると思う。