高円寺の良いところ。「こころみ」カフェ、「ハッピー」ハンバーガー

高円寺の飲食店の好きなところ。これはやはり、バイトばかりのチェーン店よりも顔の見える個人経営店が多いことに尽きる。高円寺で複数店舗展開している系列店もあるが、高円寺界隈で4、5店舗といった塩梅。いつも同じ顔がいて、今日は特別にどこどこ店からヘルプなんですよ、と話してくれたりする。

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わたしの好みの隠れ家的穴場レストランカフェ「こころみ」でルーマニアワインの食事会が開かれた。ここは普段から独創的な創作料理を美医食同源のコンセプトのもとに天然素材にこだわって出している店で、今日はその料理に8種ものルーマニアワインを合わせるという企画。

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私がルーマニアで働いていたのは17年前で、その当時のルーマニアワインはお世辞にも洗練されたものではなかった。ソ連邦に属した共産主義時代は加盟各国に貢献する生産品が割り振られており、夏は乾燥し日照に恵まれたルーマニアの環境を見込まれ、小麦やワインの生産が盛んだった。しかし質よりも量が重視され、一本の葡萄の木から何本ものワインを収穫することを目指すようなワイン造りだった。17年前当時も安く、軽く、薄いワインを時にはコーラやらと混ぜてガブガブと飲む状況だった。

 

それからEU加盟もあり、フランス、イタリア、スペインからの技術移転もありルーマニアワインの質は劇的に向上した。しかし格付けが値段に顕著に反映されるワイン業界においてルーマニアワインはまだ安い。欧州におけるアルゼンチンワインのような位置付けではなかろうか。

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私がいた昔にはこんなに美味しいワインは簡単には見つからなかった。

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食事の上でのこの日1番の収穫は、蕎麦ソムリエなる人が来ていて、常陸秋蕎麦というとても美味しい蕎麦を打って出してくれた。しかもツユではなくオリーブオイルと粗塩で頂くというもの。それがあんなにも蕎麦の風味を味わえて美味しいとは知らなんだ。こればっかしはルーマニアワインに合わせるのは建前でただ客に極上の蕎麦を食べてもらいたかっただけだと疑っている。

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ルーマニアワインの宴の15席は満席で、那須塩原や愛知などの遠方から来られた方もいた。しかし殆どの方は高円寺在住で、しかもお寺の住職の奥様だったり、母娘で歌手をされていたり、語学スクールやプレタポルテの工房を経営されていたりと面白い経歴の方が多かった。「こころみ」の店主の人柄を軸に繋がったお客さんであり、時には協働する仲間たちといった印象。地域に根差して、面白い人達の繋がりの網が素敵だと思った。

 

 


その「こころみ」の近くを別の日に歩いていて、あまり通ることのない路地に「ハッピー」というハンバーガー屋さんを見つけた。

 

店主に聞くと2017年の夏に開業とのこと。1,000円〜1,500円程度の価格帯で大きなハンバーガーにフライドポテトが付いてくる。

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アボカドチーズバーガーを頼んだが、私なんかが指摘できる欠点などなく美味しい。炭火焼きでパテに脂のこってり感が残っていないのが嬉しい。カリッとしたバンズ、トマトの肉厚感。

  • しっかりとした量と味のグルメバーガー
  • 長いハイカウンター席
  • ビールカクテル、シードルカクテルが豊富。
  • アメリカンダイナーのようなカジュアルな内装
  • まだ混んでいない。ここまで来て入店できないことはなさそう
  • 感じの良い若いお兄さんがやっていて、独りぶらりと来て雑談して帰るのに乙
  • きちんと躾けられて迷惑をかけない犬ならばOK!

 

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高円寺にもいくつかグルメバーガーの店がありますよねという話になって、ファッツが閉店したことを聞いた。吉祥寺に移転したらしい。樽のような太った白人のおっさんが、いかにもハンバーガー大好きといった空気を纏ってハンバーガーを作っていた。好きだった。

 

新高円寺の環七と青梅街道の交差点近くにも「バーガーズカフェ グリルフクヨシ」というグルメバーガー屋が出来たが、しっくり来ない。看板もメニューも綺麗に作り込まれたチェーン店で店員のハンバーガー愛をそこまで感じないのだよな。テイクアウトの店員が忙しげに行き交うのも落ち着かない。偏見持ちで申し訳ない。雇われ感が滲んでいるというか。テーブル席主体で作られたら料理が提供されるだけ。一人で食べに行っても、独り無言で食べて出るだけだった。

 

ISLETという中野五差路近くの店は遠くてもはや商圏が違う。残るグルメバーガーはエルパトだが、あそこもテーブル席で誰かと行く店の印象が強い。いや、カウンターもあったか。ハンバーガーの為のバンズを独自開発するほどのハンバーガー愛に溢れ、テラス席が気持ちの良い店だ。

 

高円寺北のエルパト、南のハッピー。南北の両横綱。そういうことにしよう。

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なんだか、大きな後ろ盾なく頑張ってそうなこの店に肩入れしたくなる。何せハンバーガーは美味しいし。以前、自分でも作ってみたがなかなかこんな風に美味しくパテを焼けないのだよな。新宿にバンズをわざわざ買いに行って作ったことあります、なんて話をしたところ、即座に「峰屋さんですか」と返ってきた。彼の出すハンバーガーは彼がいろいろ研究を積んだ末の彼にとってのベストバーガーなのだと思う。ちなみにパテはアルミフライパンではなく、炭火鉄網で焼くと縮みにくく美味しく焼けるそうな。

 

「こころみ」「ハッピー」を通じて何が言いたいかというと、一人で行っても孤独を感じずに適度な距離感で気安く入れるような店を私は高円寺に求めている。全く独りもつまらないし、友達に声かけるのも煩わしい時に程よい雑談相手になってくれる店。それに応えられる店が多いのが高円寺の魅力だと思っている。友人知人と食べに行ってももちろん楽しめるし、一人でもなんとなく人との接点を感じられる。独り身に居場所がある街。

 

いつまで掛かっているかは知らないが、ハッピーには壁にストリート感あふれる若くて素敵な女性の写真が並べてある。マスターの歴代彼女か、是非聞いてみて欲しい。

 

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暖かくなったら犬の散歩がてら、店先の椅子で頬張るのも良いかもな。小さなコーヒーテーブルがあれば理想的。


ハッピー ザ バーガースタンド

【火〜金】12:00〜15:00 / 18:00〜22:00
【土日祝】12:00〜19:00

月曜休日