飼育マットを厚く敷いてあげて、木や樹皮なんかも豊富に置いてあげると夜行性の彼らは日中は殆ど地中に隠れてしまう。夜早くに寝てしまう子供たちには彼らの姿をほぼ見られないというすれ違い生活になってしまうことに気づいた。
そんなわけでたまに夜にわたしが一人で飼育箱から取り出して遊んでいる。人が触るとストレスで弱るという話もあるが、そうなると飼育しながら全く触れることなく過ごしてあと数週間で寿命を迎えるだけなので24時間食べ放題の黒糖と果物味の昆虫ゼリーと引き換えに勘弁してもらおう。
それにしてもこのゆったりとしたS字の顎は惚れ惚れする。見れば見るほど農作業具の鍬の湾曲。言い換えるとオオクワガタもヒラタクワガタも彼らの顎は鍬を連想させる形はしていない。どちらかというと「やっとこ」だ。オオクワガタやヒラタクワガタが主だったとしたらヤットコムシになってしまっていたかもしれない。ノコギリクワガタの鍬状の顎があってこそのクワガタという名前なわけで、そういう意味ではノコギリクワガタこそが「ザ・クワガタ」ともいえる。人里に近い生息域からしても生息数からしてもノコギリクワガタこそが一番身近なクワガタだったようだ。
前脚の付け根近くに金色に輝く楕円形がある。人工照明の下だと肉眼だととても輝いて見える。全身黒い体躯に差し色の金なんて玄人お洒落。
これは繊毛が密集して生えていて空気の動きを感知するクワガタの「耳」のようなものなのだという。繊毛で察知することは知っていたけれどもこんなに金色の美しい器官だとは知らなかった。
同じ樹液で捕まえた小型のノコギリクワガタ。この左右に突き出した先端がブラシ状の触覚が好きなのだがこれは陶器でそっくりに作るのはさすがに無理がある。
挟まれて痛いのは小型のノコギリクワガタなのだよね。大型のやつの湾曲した顎では指は挟みきれない。
かっこよかばい。
フォークリフトモード。この時、横についた眼は前を見えているのだろうか。
子供が持つとなかなかのサイズ感。痛い痛い言いながら手に乗せて遊んでいる。
黒土で10倍サイズの巨大ノコギリクワガタを作ってみたい。無論、前脚には金色のワンポイントを入れる。