ラブラトライト

週末、いろいろと勉強しないといけないことがあって自転車で新宿の紀伊國屋書店まで走った。学術書、ビジネス書の類は東京西側ではここに限る。

困ったことに1階に化石なんかを売っている店があるのだがいつも吸い込まれて時間をロスしてしまう。「東京サイエンス」という数坪ながらも素敵な店がある。

f:id:mangokyoto:20220130171821j:image

三葉虫と蝸牛のハイブリッドのようなやつ。触角は接着したのだろうか。そのままうまく削り出せたとは想像し難いがもし無垢のままなら奇跡な逸品。

f:id:mangokyoto:20220131130550j:image

この細い部位が損なわれていない化石の繊細さに心ときめく。

 

ちなみに若い女性の店員さんがいらして商品に興味のないバイトかと侮っていたが質問するとどこどこ産の蛍石はどうでこうで、本来のへき開性はこうだからこの八面体は自然ではなく研磨して整えているだとか、すらすらと教えてくださる。ガチの化石鉱物好きな店員さんだった。惚れそう。
f:id:mangokyoto:20220130171819j:image

化石化したアンモナイトはアンモライトという宝石になる。オパールのように見る角度によって虹色に遊色を反射する。採集された母岩とそのままなのも臨場感があって良い。しかも2万2千円はそんなに法外な値付けには思えない。1億年前の生物が化石化してさらに宝石化しているものが飲み会2〜3回分で買えてしまう。コロナ禍で飲み会は確実に平年よりも3回以上は少なかったはずだし、だったらこれを買っても良い気がしてくる。300万円の巨大で見事な赤い遊色を放つアンモライトも展示されていた。
f:id:mangokyoto:20220130171824j:image

蛍石の結晶群。これはブラックライトを照射すると青く輝く。それがまた幻想的で綺麗なのだよね。7700円とのこと。こちらも飲み会1回分だと考えると安く思えてくる。

本来の目的を思い出して3階まで上がり、書籍を8000円分購入した。週末は勉強三昧だ。本音としてはこんな真面目な本などではなく蛍石を買いたかった。飲み会1回分で買えたとは思わない不思議。

 

f:id:mangokyoto:20220130171835j:image

真面目に勉強する本だけを買って帰ったようなことを書いたが、ちゃっかりとラブラトライトも買った。1980円也。多肉植物の近くに置いてあり、太陽光が特定の角度で射した際に魅力的に青く光ってくれる。
f:id:mangokyoto:20220130171832j:image

和名は曹灰長石。ラブラトレッセンスという光の干渉による色を返すのだが、虹色に光るもの、赤色に光るものなど個性があり、私はとりわけ深く強い青色だけに光るラブラトライトが好きだ。

f:id:mangokyoto:20220130171011j:image

暖色の照明を照射すると蒼っぽくなる。この色もまた良い。
f:id:mangokyoto:20220130171008j:image

主成分は長石なわけで、陶芸の釉薬の基礎釉成分の一つは長石。ラブラトライトを粉状に粉砕して調合したら予想だにしない釉薬が生まれたりするのだろうか。日本画の青を描くために用いたラピスラズリなどと違いラブラトライトの方が遥かに廉価なので釉薬の調合に使えなくもない。かもしれない。知らんけど。