4月にリニューアルオープンしたばかりだという佐賀県立九州陶磁文化館。
有田や陶磁器の歴史の説明がわかりやすい。
デジタルに自分好みの有田焼をデザインして大きく表示するコーナーなんてのもある。輪違い紋に虎と蝶の八角皿を作ってみた。
同じ輪違い紋を複数並べて鮭を加えた丸皿。面白いな。
自分のデザインを生地に転写して焼き上げて実物の有田焼きを作れるところまで行けば是非作ってみたい。
コンプラ鉢を模倣している陶芸仲間がいた。私もこれを見て作ってみようかな、と思っている。無論、ZOYA(醤油)ではなくZAKY(酒)と書くつもりだ。
名護屋城に秀吉の金の茶室が再現されたらしいがそれを彷彿とさせるディスプレイ。
ヨーロッパの宮殿で流行した東洋趣味の陶器の間の再現。装飾展示用の壺や皿を線対称に対にして飾るのが肝であったらしい。
やがてはマイセンやフランスの窯でも盛んに模倣品が造られるようになるのだが模倣品は毛髪で書く文化の無い国なので運筆を無視して余白を塗り潰しているだけなので呉須の濃淡が汚い。
左がオリジナルの有田焼。右がマイセンで100年近く後に模作されたもの。
そういった説明書きもあってわかりやすい。
通常の他美術館であれば記号的な情報が多くなりがちで物語性のある説明に乏しいことが多い。ここでは明から清に王朝が変わり、清王朝が旧勢力の立て直しを目論む景徳鎮を含めた南部の勢力を抑えるために中国磁器の輸出を禁じたことが最初は中国磁器の代替品として有田焼に注目が集まるきっかけとなったことなどが説明されている。
今も昔も戦争や政変などの理由で供給元が変わることが国際貿易ではあったようで示唆に溢れる。
植木鉢に転用しやすい形だ。参考になる。
高台が高いリムに装飾を施した植木鉢を作ってみようかと思う。
なんともサイケデリックな紋様。
バージニアバートンの「せいめいのれきし」という絵本を思い出す。
本膳の例示。
還元の強い青磁に菖蒲。
内庭もあって目を休められるようになっているのだが、内庭にも楽しませる磁器があちこちに配置されている。存在感があるのがマイセンから贈られたヒクイドリ。
水飲み水栓も全て有田焼。
ロビーには巨大な機械時計があるのだが、特定の時間になるとカラクリが動き出す。
有田くんの目つきが悪い。
染付磁器の歯車が回る様は見ていて楽しい。
眼福
眼福
眼福
ここ数年の日展や工芸展の入選作品も何十と並べられていた。気に入ったものをいくつか記録しておきたい。
アザミのトゲトゲしい雰囲気をよく表した花器。
見る角度によって印象の大きく異なる椿の描かれた花器。この紅椿だけが見えるシルエットも魅力的だが
よじれて紅白に見える様も面白い。世良彰彦さんの雫という作品。
氷裂青磁の大皿。
展示物ではない箇所までが装飾的で素晴らしい。ドアの取手というか押す部分が全ての箇所が異なる有田焼の陶板になっているのだが、絵付けも素晴らしい。
これほどの美術館を無料にしてしまった良いのかな。ここまでのものは入場料を取っても良いように思うのだが。その代わりに違うことに補助金を出してほしい。地元の子供達や学生、窯業関連の人たちに気軽に触れてほしいだろうし、財政はどこの自治体も厳しいだろう。地元民は無料、観光客は有料にするのが良いように思う。