子供が星を見たいというので懐中電灯と星座盤を持って夜の蚕糸の森公園へ。
東京の空は1等星しか見られない。デネブ、アルタイル、ベガ。星座盤にない場所に明るい星があると思ったら土星だった。
そして蚕糸の森公園を歩くと蝉幼虫の脱皮の夜宴だった。羽化直前の蝉の幼虫は内側の色が透けてうっすらと緑色。
メリメリと音が聞こえてくるかのようなその瞬間。茶色い殻から鮮やかな青緑色の躯体が出てくる。
重力の力を借りて晒すように脚を抜いていく。白い管が動力ケーブルのよう。
あとは羽を伸ばして乾かす。子供たちが、「ほらこっちにも」「ここにもいる」「こっち照らして」と大興奮。
大きな幹を見上げると上にも無数の蝉が這い上がる最中だったり、すでに抜け殻だったり。どこまで登って羽化をするのか、決め手は何なのだろう。下から幹を見上げるとそれはどこまでも果てしない道のように見える。
ここにも、と思ったら甲虫だった。
羽化の途中で落下してしまった個体もいた。命懸けの瞬間なのだろう。拾って木の根の出っ張りに移動させてみたけれどもこのまま羽化できるだろうか。
脱皮直後は腹は平たいのだな。これを膨らませて共鳴拡音器にするわけだ。
やがて茶黒くなって煩く鳴きわめく油蝉の成虫となるのだが、このままの色でいてくれたらもっと人気の蟲になっていたかもしれない。