2023年撮り下ろし真夏のセミヌード

夏の風物詩といえば深夜のセミヌード撮影会。無料のエンターテイメントだ。今年も蚕糸の森公園へ息子たちと繰り出した。

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20時に次男と見に行った時には羽化途中のものは見られなかった。22時過ぎに長男と見に行ったら目線の高さで羽化している個体がいた。多い木には10匹近くが幹を行軍している。

 

蝉の幼虫は真っ暗な地中にいてどのようにして日没を感知しているのだろうか。
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それにしてもこのエメラルドグリーンの美しさよ。このままの色でいてくれれば良いのに。緑の蝉だっているではないか。
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蛹にならない不完全変態の蝉は地上に這い出てきた段階で既にあの殻の中に翅が出来上がっているということになる。ということは幼虫の腹部の中も空洞なのだろうか。
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もう眼は機能していて私のことが見えている様子。光を照らすと僅かに身を捩らせるが脱皮中の最も身体が柔らかく無防備な状態ではどうにもできないのだろう。身動きできないのに見えるというのは恐怖でしかないだろうな。申し訳ない。
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反らすとまだ幼虫の殻と成虫の間には数本の電源コードのような紐で繋がっているのが見える。
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この瑞々しさはなんとも言えない。いつか陶芸でこの色、命の瑞々しさを表現してみたいと思う。


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30分ほどで翅が広がった。まだ乾いて強度が出るまでには何時間もかかるのだろう。

 

ようこそ、地上へ。弱肉強食と無駄死にの溢れた修羅の国へ。地中ほどの快適さはもう無い。

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側溝の方に歩いていく幼虫を見つけたので掌で掬い上げ、大きな木の幹まで運んでやった。そのうち「あの時、あなたさまに救って頂いた蝉です」と恩返しに来てくれても良いよ。期待せずに待っている。