作家同士の作品物々交換のために夏までに10鉢の陶蟲夏草を作ろう

学び

作家同士の作品物々交換は思い入れも深まり楽しい。

物々交換するには「あなたの作品も売ってください」と言わせる魅力がないといけない。

お互いにとっての価値が値札とずれるのも面白い。

作家同士の物々交換は他の人のいないところで話す。

物々交換は作家さんごとに原則1回限りにする。

 

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夏までに陶蟲夏草鉢を10個ほど作ることを心に決め、10個分の鉢部分を水挽きした。ひしゃげた物は作為的に凹ませたのだけれども実態は既に失敗作で起死回生の逆転期待枠なのかもしれない。しかしそういうダメ元の「遊び」が化けることもある。
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物々交換に恥じない陶蟲夏草鉢を作ろうと俄然やる気が出た。自分の作品で他の作家さんの欲しい作品を手に入れる。

 

なかなか趣味の合う友人が見つけられずにいたのだが、東京むし展を通じて仲間を見つけられた。立ち話を通じて私も蟲が好きで陶器の作品を作っていることを話して盛り上がり、私の作品をお見せしたら是非買いたい、売って欲しいとの申し出。そこで後日、購入する代わりに互いの作品を交換することを提案してみた。

1万円、2万円で売って代金が飲み代に消えるよりも自分の作品と引き換えに欲しい作家さんの作品を迎え入れられる方が嬉しい。自分が欲しいと思うような作品を作る技術を持ったすごい作家さんに私の作品を交換に見合うものだと認めてもらうという意味でも嬉しい。私の作品があの作家さんの手元にある。そしてあの作家さんの作品が我が家に来た。それが楽しい。

 

お互いの値段を参考に同額程度のものを交換するのが順当なのだろう。しかし相手の値付けと自分の評価が一致するとも限らない。実際に私の作品に対して最初18000円の作品との交換を提案してくださったが私が欲しかったのはあちらの10000円ほどの作品だった。全く損したとは思わないしとても満足だ。私にとって価値があると思えたから。私の作品とて20人のうち19人は興味ないシロモノだ。

 

そんなわけで最近、出来上がったばかりのダンゴムシ陶蟲夏草鉢と蝉の脱殻に銅鍍金を施したペンダントトップを交換してもらうことにした。作家さんの自己評価以上に私にとっては関心の高いモチーフであるしどストライクな好みだ。今はピカピカしているが純銅なので月日とともに酸化して鈍く黒ずみ、うまくいけば緑青が湧いて複雑な味わいに育ってくれると思うとワクワクする。しかも背中から水晶が冬虫夏草のように生えてきている。作家さんも私の作品を見てなぜ私がそれに殊更関心があるかが納得された様子。

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そんな物々交換の話をしている際に、もう1人の作家さんも私の作品を購入でも交換でも構わないので譲って欲しいと言ってくださった。その作家さんの作品も素晴らしいと思って見ていたモノなので私としては物々交換は大歓迎だった。

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後になって思うと片方の作家さんとは作品交換をしてもう片方の作家さんとは応じないとなると失礼な話になる。たまたま隣にいらっしゃる作家さんも私の好みの魅力的な作品を作ってらしたので問題なかったが、複数の作家さんがいる場で交換の話はするべきではなかったと反省。価値の有無ではなく好みの有無の世界に過ぎないが好みは本当に人様々だから。

 

なんとなく、1人の作家さんとの交換は原則1回が妥当な気がする。その作家さんから複数個欲しければ次回からは通常料金で購入した方が良い。私はともかく継続的に販売してらっしゃる作家さんに毎回、当然のように現物交換を求めるのは違う気がする。ある程度、原材料費や諸経費を回収したいと思ってらっしゃる場合もあるだろうし。

 

いづれにしろ、自分の作品を見せて「これ売ってください」と思ってもらえる魅力があるかに尽きる。自分の技術や作品の世界観が深まるほどに他の作家さんのより魅力的な作品と交換できるという自分の腕次第の「作品わらしべ長者」的な遊興だ。精進しよう。