大雪とフィリピン生まれのトイプードル

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もう数日前のことだけれども日本に帰国したら寒波に大雪。ちなみに上海も数十年に一度という雪が積もったそうだ。

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雪の重みでシマトネリコの枝が折れてしまった。梅はものともせず。

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アネモネも中空のやわそうな茎なのに、雪が積もりやすい大きな花なのに折れることなく耐えきった。

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メダカは睡蓮鉢の底で仮死状態になっているのだろうか。凍ってしまったら流石に死んでしまうよな。無事を祈る。


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フィリピン生まれのマンゴー殿は最初は興味深そうに走り回った。まるで橇犬のような逞しさ。肉球は冷たさをあまり感じないのだろうか。しかし数分後には寒くなってプルプルと震えだしたので家に退却。

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あちらこちらに雪達磨が作られ、雪掻きの道路をこする音が鳴り響く。たまには雪も楽しいね。

 




 

上海について昔に自分が書いたことに感心してしまった。 自分は 劣化したのか

豫園の思い出と合わせて中国人の友人のことを思い出して数日ほど前に書いた。

他にも6年前に友人再開時に話したことをいくつか備忘録として書き残していて、それを今になって読み返した。

 

  • 自分にもこんなに腹を割って語り合える中国人の友人がいたなんて。
  • それにも関わらず、全く連絡もとらず忘れていた。人との繋がりを大事にしない薄情なヤツなのだな。
  • (自分が書いたことなのに)なるほど、勉強になる。貴重な昔の状況活写だな。(自画自賛
  • 6年経って現実はどのように変わったのだろう。是非また友人に話しを聞きたい

 

hannarimango.hatenablog.com

 

 

hannarimango.hatenablog.com

 

 

ほぼ全てを忘れており、全く初めて他人のブログを読むように読んだ。自分の記憶力の悪さに唖然とする。

 

昔の自分のほうが向上心に溢れ、好奇心に満ち、可能性がまだ大きく残され、頭も良かったのではないかと思うことがある。自分の考えたこと、したことも忘れながら年を重ねている。果たして緩やかにでも何かが向上していっているのだろうか。

 

長く続けているブログというやつも凡人として過ごした年月の現実を自分に突きつける諸刃の剣にもなるのだな。まあ、あれもこれも昔のことを忘れて自分というやつはしょうもないなあ、という程度の実感なので改善も対策もせずこのまま生きていくのだろうけど。

 

自分も自分の記憶も疑え、というのが学びか。

上海でAirbnbに挑戦 そして失敗

 

一泊2万円近い、会社が予約してくれるホテルは個人で延泊するには高いので、今回初めてAirbnbに挑戦してみることにした。いわゆる民泊というやつだ。

 

  • 中国のアパートは部屋を見つけるのが大変。近隣住民に聞いても誰も知らない。
  • 英語、日本語での意思疎通が困難。北京語が流暢だと安心。
  • 約束の時間通りにチェックインしないと鍵の受け渡しなどが困難。
  • 不測の事態に備えて前後に日程の余裕がないと不安になる。
  • あるべき場所に鍵が置かれておらず、冬の上海の夜に外で1時間待たされた。
  • ローミングSIMフリーなど困ったらいくらでも電話できる環境がないと終わっていた
  • 近所のおばちゃんに鍵を持たせて清掃に雇っている。貴重品はホテルに置いておくには不安。
  • レシートは貰えない。おそらく税金は払っていない。
  • 出発日にタクシーを予約して来てもらうことは困難。虹橋空港ならば地下鉄で行けるが、浦東空港から午前便だと時間通りに空港に辿り着ける気がしない。
  • 安全と安心はお金で買うものだと再認識

 

 

午後チェックインの決まりだが、午前中に荷物を置きに行ったら人がいない。予約時の連絡先に電話をすると、多少英語を話せる人が出てくれた。物件の近くには住んでいないので直接鍵を渡しに行くことは無理とのこと。

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何回か間違えながら、電話越しの誘導に従ってアパートの入口にたどり着き、これまた試行錯誤しながら郵便受けの脇の小箱の鍵の暗証番号を聞き出し、小箱を開けてようやくアパートの入口の鍵と2階の宿泊部屋の鍵を入手した。まるで「電話指令に従って無事に侵入せよ」というゲームをやっているよう。

 

英語か北京語が流暢で、なおかつ通話時間を気にせず現地で話せる携帯電話がないと達成困難な任務。

 

いざアパートに入るとなかなか質素で生活感溢れる共同台所。他の部屋は普通に住んでいる住人のようだ。

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台所を抜け、木が軋む階段を登っていく。エレベーターは無論ない。大きなスーツケースを持参してくるような所ではない。

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ようやく二階の目当ての部屋を開けると、おお、これか。なんともスタイリッシュで良いではないか。シャワー、洗面台付きの1Kの部屋だ。鉄枠の大きな窓が素敵。

 

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ベッドはダブルで充分な広さ。シーツも清潔で綺麗。

 

 

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トイレはシャワールーム兼用。モルタル塗装のインダストリアル感がオシャレ。なぜか壁にはローマの休日の一コマ。ちなみに部屋とトイレを区切るのはシャワーカーテンのみで換気扇の出力は弱い。誰かと泊まる場合にはとってもあれが臭いと気まずい。

 

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今が暖かい季節ならば座ってハーゲンダッツの抹茶餅でも食べるんだがな。

 

また暗号キーのついた小箱に鍵を戻して買い物に出かけた。そしてなんとも困ったことに17時頃に戻ってきたら小箱の中にあるはずの鍵が無かった。携帯電話の電池も残り20%。嫌な予感しかしない。

 

管理人に電話をしても繋がらない。途方に暮れていたら10分後にかけ直してきてくれた。鍵がないことを説明すると、確認すると言われて更に待つこと10分。ようやく、「なぜ鍵がないのかわからないが他の鍵を今から届けに行く。20分ほど待ってくれ」とのこと。

 

携帯電話の電池の残りを考えるとネットサーフする余裕はない。もしこのまま部屋に戻れない事態になった最悪シナリオを検討した。最悪の事態に備えてパスポート、クレジットカード、印刷したeチケット、会社のパソコンは持ち歩いている。服と頂いた土産を諦めれば帰国はできる。現金払いのAirbnbなので、帰国後に返金してもらうのは難しいだろう。今からAirbnbよりも安くて安全な宿を見つけるのも難しそうだ。シェラトンだとかマリオット、見つかればホリデーインのような少なくとも国際ホテルチェーンを見つけることになる。追加支出2万円は腹をくくらないと。まあ、帰国するメドはついただけ気楽だ。

 

結局、冬の上海の夜に1時間も屋外で待つことになった。カップルなら喧嘩になるシナリオだな。

 

鍵を届けてきた男はソーリーしか言わない。喋れないふりかもしれない。理解しないかもしれない相手に文句を言っても徒労なので諦めた。

 

当方、英語にはさほど不自由しないが北京語も上海語も喋られない。ただし、累計4カ国に8年間住み、旅行でも60ヶ国回るなどバックパッカー経験は長くストレス耐性や不測の事態への対応力は高い方だと思う。それでもなかなか上海のAirbnbにはハードルの高さを感じた。途上国を旅行中につねに先の危険を察知するアンテナをオンにしていないといけない、あの感覚でいないといけない。つまり気が休まらない。

 

中国で最も発展している上海の、しかもAirbnbにしては1泊1万円という高価格で見た目もスタイリッシュな当物件ですらこんな感じだ。

 

間違っても英語や北京語を話せない旅行に不慣れな人が恋人や妻子を連れて行ける場所ではないと思う。無論、安心して泊まれるAirbnbもあるのだろうが、私は良かれと選んだ物件で見事に失敗した。

 

 

 

豫園の思い出

何か子供達へのお土産を買えないものかと豫園に来た。もう19時だが店は21時頃まで開いているという。

 

豫園に前回来たのは何年ぶりだろう。記憶を遡ってみると12年近くも前になる。私の海外出張に妻が遊びでついて来るというパターンが多かったが、その時は珍しく妻の上海出張に私が遊びで付いていった。当時はまだ結婚しておらず、妻以前の元彼女だ。

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確か、12月のクリスマス前後だった。その頃、関西で出会った、「小芸術家」という国家称号を持つ中国の少数民族を題材に多くの油彩を描く中国人の友人がいた。腰まで届く黒髪が綺麗な人で、少したどたどしい日本語に可愛らしさのある一周りほど年上の人だった。その友人は当時、関西から上海に帰国していて、上海のとある大学で美術の准教授をしていたので声をかけて豫園を妻と案内してもらった。

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随分立派な鯉がたくさん泳いでいた。当時も南翔小籠包は健在で名所だった。もう記憶は断片的でしかないが、その時はまだ結婚していない妻に対しても友人が優しくてなんだか嬉しかったのを覚えている。

 

出張が終わると妻は仕事で日本に帰国し、私は12月25日まで画家友人の家に転がり込んだ。なぜそんな流れになったのかは覚えていないが、恐らく上海のホテルは高いから居間でよければ寝ていいよ、と提案してくれたのだと思う。

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友人は某大学の敷地内にある教職員社宅のようなところに住んでいた。4階建ほどで建物には准教授、講師ばかり。大学の別の敷地内には学生寮も建ち並んでいた。

 

その当時はまだ上海の若者は化粧っけが無く、服も随分とダサかった。その中で日式の洗練された化粧をし、ケバくない落ち着きのある服を着こなし、ハイヒールの友人は学生から特別視されていたそうだ。学生からの質問の半分は美術に関わるもので、残り半分はどこでその服を買ったとか、どこで化粧の仕方を学んだとかだったらしい。

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その晩は12月24日、クリスマスだった。19時ごろに友人と近所の大衆食堂で汁そばと水餃子を食べ、コンビニでジュースを買って友人のアパートに戻った。それから21時ぐらいまで雑談して時間を過ごした。内容はというと、日本の男は女性を褒めないだとか、好意を形にしないとか、優しさと優柔不断を履き違えているだとか、専らお叱りの言葉を浴びせかけながら私が苦笑いしながら普洱茶を飲むというものだった。一見、とてもしっかりしているけれど、あなたもそんなじゃ、彼女に逃げられちゃうよ、フラれても泣きつきに来ないでね、と言われた。

 

それからの展開が面白かったのだが、21時を過ぎた頃から断続的に来客が来た。友人は居間に私がいるので玄関で対応するに留めていたが、誰かが訪ねては帰り、また誰かが訪ねて来る。その度に花束やら贈物と思しき箱が居間に運び込まれる。そして居間が随分と花束で埋まり、最後には「うちにはもう花瓶がないよ」と困ってしまった。

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学園のマドンナか、と驚嘆した。友人曰く、クリスマスの贈物なのだという。しかし愛の告白などではなく学生や講師からで学生は良い成績が欲しいから、講師は大学での准教授の籍が欲しくて友人の推薦や支持が欲しいからだという。随分と中国らしいな、と強く思ったことを覚えている。でも今にして思えば融通を図って欲しいという中国の慣習を隠れ蓑にした好意な花束が紛れていたかもな。

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友人は今も元気にしているだろうか。日本人男性の不甲斐なさをダメ出しし続けた彼女はその後、日本人男性と結婚した。あの文句の数々は煮え切らない相手への文句だったのだろうか。私は彼女の警告通り、しばらくして当時付き合っていた妻にフラれた。フラれて愚痴を言いに訪ねていたら友人彼女は少し嬉しそうに「だから言ったじゃない。もっとあなたは。。。」と意地悪なことを言い続けながら暖かく迎えてくれたと思う。愚痴を言いに上海を訪ねる機会はなかったが、紆余曲折してよりを戻して結婚した。

 

6年前に上海出張があり、腰まであった髪をバッサリと切ってボブになっていた友人と再会した。身重な妻に翡翠の腕輪を贈ってくれた。気軽に友人にお土産に持たすものでなく、友人の実家のある昆明の母が何かの折にと贈ってくれた立派な翡翠の腕輪だそうだ。残念ながらその護身加護の翡翠の腕輪はある日、落として割れてしまった。信心の無い私だが腕輪が何かから妻と息子を守って割れてしまいお陰で息子は無事に産まれ健康に育っているのだと思うようにしている。

 

 

hannarimango.hatenablog.com

脳内妄想ではなく、ちゃんと記録が残っていた。備忘録として機能しているではないか。自画自賛。 

 

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人生長くなって来るとそれなりにあれこれいろいろと思い出すことができてくるものだ。

 

子供達には結局、ハンドスピナーをお土産にした。豫園の中だと65元だなどと言われるが、10元ショップで20元で購入した。こういう単純なものが喜ばれる。重厚な金属で虹色に輝いていて唸りを上げて回転する。「宝物にするー」とのこと。メデタシ、メデタシ。

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中国はもはや最先端という誇り ネット購買

中国(というよりは上海)には来るたびに驚かされる。

 

若い中国人と話していると、みな誇らしげにどれだけ中国のECが進んでいるかを語る。あれもネット、これもネット、私はもうオフラインの店では何も買わない。家電も雑貨も果ては野菜や果物まで全てネットで買うと胸を張る。そしてお決まりのようにいかにデリバリーが迅速かを語る。お届けまでの残り時間が表示され、即日、翌日に届くという。

 

韓国の商品、日本の商品だけを並べたe店舗サイトもあるそうで、日本にいる代理購買配送業者に注文するのだという。未だに国産品より海外製品の方が優れているという先入観は強いらしい。

 

中国のEC大手、アリババ社の運営する天猫(Tmall)という日本でいうところのAmazonのようなサイトがあるのだが、そこが仕掛けたW11という巨大安売りセールの日がある。11月11日を独り身の日と銘打ち、ネットでの自棄買いを煽ったイベントなのだがこれが拡大を続け独身も家族持ちもカップルも全ての人が殺到するネットセールの日になった。2017年には11月11日のたった1日の売上が3兆円弱に登ったという。楽天の年間売上が4兆円であることを考えると凄まじい。

 

家電から雑貨から食料品まで何でも売られていて、11月11日に向けてみなネットで欲しいものを漁り、買いたいものリストに登録していく。そして50%引きだとかになるW11の日に購入ボタンを連打するわけだ。同僚の中にはついに車を買ったというツワモノも現れた。さすがに車は10%引きだったそうだが。W11の直前は重要な仕事の依頼は避けた方がよさそうだ。彼らはそれどころじゃないのだから。

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彼らの50代、60代の親も当たり前のようにAliPay、WeePayというスマホアプリでの電子決済を使いこなしているという。私の両親はようやく昨年、ガラケーからスマホに買い換えたばかりだというのに。

 

上海人が天猫を説明すれば、アメリカでいうところのAmazonだけどもっとなんでも買えるECサイトだと説明されるし、Weechatを説明すればWhatsappみたいなSNSだけどキャッシュレス決済もできる数倍便利なやつ、と言う。もはや中国は真似する後進国ではなく、アイデアをさらに改良して一歩進んだものを生み出せる先端国家だという強い自負を感じる。

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都市部の購買行動は凄まじい勢いで変わってきていて、実店舗はより体験型に変化しつつある。若い中国人を刺激するのは新しい体験、人とは違う体験だ。調査によると新世代の都市部の中国人は欧米人や日韓人よりも人と異なることを恐れない。一生の思い出にお金をかけたいと思う度合いは世界平均よりも高いそうだ。

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ちなみに、懐古趣味的なカウンタートレンドは生まれていないのか中国人の若者に聞くと、古い家具や絵画、装飾はカッコいいらしく、そういうのに熱を上げる人達も増えているらしい。

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実店舗といえば来る度に上海のコンビニの品揃えは良くなっていて日本のコンビニに近づきつつあると感じる。ローソンやファミリーマートも至る所によく見かける。しかし、コンビニ業界で日本資本が高いマーケットシェアを謳歌する前にECとキメ細かいデリバリーに駆逐される恐れもあるのかもしれない。それこそ周辺客が天猫で購入した物品を受け取る配送拠点にできたらいいのかもしれないが、補完する追加商品やサービスが中国のコンビニにはなさそう。

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天猫で満たされずコンビニに行くとしたら急にアイスが食べたくなった場合だろうか。何故かハーゲンダッツの品数がやたら多く、苺フローズンヨーグルトや抹茶餅など日本にも置いてもらいたいフレーバーが多い。

 

会議も終えて帰ろうとしたら「今、ここに来てもらったuberに乗ってホテルまで帰って。支払いはもう済ませてあるから。中国のタクシーは日本と違って安いから気にしないで。」そう言って同僚に送り出された。客捌きがとてもスマートだな。

上海の手描き陶器店 Zen Lifestore


陜西南路の地下鉄駅前にはiapmモールという新しくて巨大なショッピングモールがあるのだが、この中には日本のどこでも手に入る高級ブティックばかりで買い物する魅力には乏しい。モールの中の玩具売場も輸入したそのままの英語表記のレゴや日本語表記のトミカばかり。


中国らしい何かを求めて上海の陜西南路から衝山路まで歩いた。


ここら一帯はフランス租界だったそうで、プラタナスの並木が続く。


目当てはZen Lifestoreという陶器雑貨の店。いわゆるシノワズリ陶器が比較的手頃な値段で売っていると聞き足を運んだ。

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手書きで花鳥が描かれた平皿や花器、筒状容器やコップが店内狭しと並べられている。

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物によってばらつきはあるが、丁寧に絵付けされたものが多い。絵柄は同じだが異なる場所に絵柄が描かれているので同一の下絵をまちまちに転写していると思われる。単純な絵柄ほど線がヨレていたりするので、経験の浅い職人があてがわれているのだろう。

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せっかくなので黄色地に桜と蝶が描かれた平皿とハンドソープディスペンサーを購入した。この水準の手描きの上絵付けの大絵皿やディスペンサーが188元(3200円)というのは日本では考えられない。お値打ちと言えるのではないか。自分で作れても3000円なんかで売りたくない。。。

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ところで、桜に蝶という組み合わせは日本でさほど見かけないように思う。描くとしたら菜の花に蝶ではなかろうか。何せ桜の花は菜の花なんかに比べて蜜が少なく蝶はそこまで寄ってこない。どちらかというと見かけるのは桜にメジロなどの鳥だ。ではここに描かれているのは桜ではなく違う花なのか、実態よりも願望図を描いているのか。いやいや、私の頭の中が桜といえば染井吉野を想起しているだけで、中国の山桜には中国の蝶の類が飛び回るのだろうか。


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店舗の二階はカフェになっていてほぼ満席の賑わい。洋館の屋根裏部屋といった風情で案外と静かで落ち着いている。客は駐在員の家族と思しき白人が半分。日本人は見かけなかった。

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店舗で売られている陶器でお茶や珈琲、ケーキ類が提供される。

カプチーノにベルベットケーキをセットにしてもらって98元。1700円近いから日本の物価基準でもかなり高級なカフェだ。空間と雰囲気を売っているのだろう。控えめで静かな若い女性店員が一人で回しているので、注文を取りに来るのも飲物を提供するのもゆっくりとしている。

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何気なく出されたカプチーノ。左右を白黒に反転させている。高級スターバックスよりも芸が細かい。

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見た目が綺麗なケーキなだけに味は期待していなかった。こってり甘いのではないかと思ったが、酸味が効いて甘味も抑えてあって想定外に美味。長い距離を歩き回った後には丁度良い味だった。


スターバックスの高級珈琲にマーマレードクロワッサンも合わせて1700円。どちらも高いがこちらのケーキの方が1700円の満足度は高いし空間の文化的魅力と個性があって好みだ。スターバックスロースタリーはやはり、高い。

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中国的色彩感覚も華やかで彩り溢れて良いね。我が家は色が足らんな、と思う。居間や廊下が白と焦げ茶で彩度を抑えているのは満足しているのだけれども、例えばトイレだけだとか、二階の一室ぐらいは色に溢れた空間にしても良かったかもしれない。浅葱色だとか萌黄色、藍鼠だとか淡い和色を使って。

上海話題沸騰の最先端 巨大スターバックス ロースタリー

南京西路にスターバックスの巨大旗艦店が昨年12月5日に開店し大変話題になっていると聞いて早速、足を運んだ。

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途中で道を聞いたのが恥ずかしくなるぐらい巨大で目立つ建物だった。まるでコロッセオというかなんというか。

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入場制限の長い行列。店内に通されるとその店舗の大きさに驚く。 これまで最も大きかったシアトルのロースタリーよりも倍の2800平方メートルもあるのだという。

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巨大なロースタリー工場が博物館、科学館、あるいは劇場のように客席から見える中央に鎮座しており、ローストされた豆が直接天井を這う輸送管を通って提供カウンターに送られるのが客に見えるようになっている。

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サンドイッチ、バゲット、ケーキ、キッシュ。通常のスターバックスの超ハイカロリーのドーナツやマフィン主体ではなくポールのような本格的ラインアップ。ミラノのベーカリーブランドと組んだようだ。

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ピザ一切れは78元(1300円!)なんて高すぎるだろう、とケチをつけても上海っ子は「でもとても美味しいし」という。もう、私が言ってるのは貧乏人のいちゃもんなのだと気づいた。

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ベルギー王室御用達ショコラティエのノイハウスとのコラボコーナーを発見。値段がいかつい。

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果てはビールカウンターまで。取り敢えずなんでも良いもの大集合。

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コーヒーもコールドブリューやフレンチプレスまである。豆も無数。

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それだけではなく服、アクセサリー、ポスターやマグなど。

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魔法瓶仕様のボトルに魔都と書かれている。実物は蓋からボトルまで重厚感があって写真以上にかっこよくて欲しくなった。398元。(6800円!)


売られているものはどれもこのロースタリー特別仕様の商品で素材も高級ならば値段も高級。インテリア性が高く、ここのスタバロースタリーグッズが部屋に並ぶだけで部屋がカッコよくなりそう。プレゼントでもらったら多くの人が嬉しいし自慢になる品々なのではないだろうか。

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席はウォールナット調の席と椅子で統一されていてハイカウンター、ローチェア、ソファ、予約席のさらにお洒落なコーナーと様々。

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最高品質のロースタリーとカルチャーを牽引していくと高らかに宣言しているわけだな。ブランドの刷新と高級化の好事例として企業の幹部連中が団体で訪問するのも納得。


日本ではスターバックスはもはや、落ち着いた雰囲気で仕事もしやすいカフェだが、珈琲は美味しくないと認識されているのではないか。フラペチーノだの甘ったるい珈琲ならざるものを売りにしている店と思われてやしないか。美味しい珈琲を出す店としてVERVEや猿田彦ブルーボトルコーヒーや無数のロースタリーカフェに座を奪われてしまっているが、上海ではスターバックスが奪還することに成功したということか。

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ちなみに成田空港は魅力的な飲食店に乏しく、時間潰しが必須な場所だというのにドトールタリーズしかなく、スターバックスが無かった。また日本でスターバックス顧客満足度は下がる一方だという。

 

世界的に見て、スターバックスグローバル本社にとって日本は取るに足らない市場に地盤沈下しはじめていないだろうか。中国での「仕掛け」の大きさと人だかりを見るとそう思わざるを得ない。いやいや、青山や渋谷は地価が高くて無理なわけでこんな大きな旗艦店を作れるのは中国だから!などと負け惜しんでみても地価は既に上海の方が高い。極上コーヒーとマーマレードクロワッサンだけで1700円しても入店制限がかかるほど人が押し寄せるのが上海。東京でやっても採算が取れるかわからないが上海でなら儲かる。そう思われて先に上海で大きな勝負に出た。以上。

 

せつないね。日本は後回し。


上海の成功が中長期的に確実となったならば日本にも展開予定だとも聞く。天邪鬼な私としては舌の肥えた日本人に空間と雰囲気のハリボテを見抜かれてスターバックスの安易な高級化路線が失敗するというシナリオを心の隅で祈ってたりもする。難点はハリボテの精度はかなり高いという点だ。カモにされたくない。されない日本であってほしい。オーストラリアの珈琲文化がスターバックスにオーストラリアからの全面撤退を決断させたと聞くとオーストラリアに拍手を送りたくなる。スターバックスが支店を展開しない小さなカフェが犇めく高円寺という街が好きだ。


色々書いてたどり着いた心の内は、上海の市場としての熱さはもう否定のしようがないということ。しかし高級スタバの値段にその価値を感じていないのも事実。1000円も出さずに同等以上の美味しい珈琲を出す店は日本には多い。願わくば、もっと美味しい珈琲を提供しつつも上海のスターバックス ロースタリーのような規模の大きくてワクワクする店を日本の珈琲屋に作って欲しいのが真意であり本音だ。壮大な構想力への嫉妬なのだ。