箱根美術館の美麗苔

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箱根美術館に足を延ばした。京都の苔寺の苔天国には及ばないかもしれないが、関東にあってはなかなかの苔天国。晩夏初秋なのでまだ少し枯れかけた色ではある。梅雨時だと深い鮮やかな緑がさぞ美しいのだろうな。

 

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渓流のような景色も作られていて素晴らしい。

 

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この美しい苔を冬の乾燥と寒さから守るために一面を萱で覆うのだそうだ。並々ならぬ手間と努力で維持される景観。私が気軽に庭に生み出せるもの、放置していても維持されるものではない。

 

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「お、光悦寺垣だ」と見てすぐ垣の種類が頭に浮かんだ自分を褒めてやりたい。

 

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苔界の二枚目スターだと勝手に思っている細羽翁苔。

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遠目に観ると何種類もの苔が叢ているのがわかる。

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こんな形状を陶器で再現してみたくもある。

 

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境目に二列の緑と黄緑の苔帯を生み出していた。

 

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樹肌も苔だらけ。苔好きには堪らない美術館だ。苔庭は正式には神仙郷庭園という。

 

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萩が9月の1番の見どころらしいけれども。。。

 

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確かに綺麗だけれどもやはり苔でしょう。花より苔。

 

茶室で素晴らしい苔庭を愛でながらお抹茶を頂けるらしい。一人で、あるいは大人だけで訪問するときは利用したい。

 

台風一過、アリウムギガンチウム植え付け

台風一過。東京の西側はさほど強風が吹くことなく16号は過ぎて行ったようだ。

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避難させてベランダの床に並べ置いた植木鉢を棚に戻すだけでも、今度はこれはこちらに置こう、こう置き換えてみたらどうかとやっていると30分が経ってしまう。

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昨年植えて5月の花後に掘り出して干しておいたアリウムギガンチウムの球根。今年も10月の早いうちから植えて大きく育てたら昨年よりも大きな花を咲かせてくれるだろうか。

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苦土石灰を加えて中和して腐葉土をたっぷり漉き込んで植込み完了。


粘菌 ススホコリ


カブトムシの幼虫飼育プラ箱に黄色い何かが発生した。キノコかと思ったのだがみるみると大きくなりしかも這うように移動していく。

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ついに我が家にも粘菌が発生したようだ。朽木に晩夏から秋に発生するこの粘菌はクワガタやカブトムシを飼育している人にはたまに見かけるものらしい。


菌類でも動物でも植物でもない、可視化サイズの単細胞生物。蟲と菌類にまたがる存在である冬虫夏草とはまた別次元の存在。

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這った跡は粘菌そのもの。最も培養が容易な真核生命だそうで、餌が尽きると変形体は摂食をやめて生殖のための子実体へと変わるそうな。飛ばす胞子は耐性が高く何年も生存できるらしい。変形体は迷路を最短距離でゴールまで這う知能や学習能力まで備えているらしい。英語ではSlime Moldと言うらしい。


もっと観察していたいが流石に室内で胞子を撒き散らされたら困る。居間に敷いている古材の床板を苗床にされたらたまらない。

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たった一つの細胞ながら核を無数に持って分裂し数メートルにもなるらしい。なかなか立派に育っているが成長可能性はまだまだこんなものではない。


モジホコリ目、モジホコリ科、ススホコリ属のススホコリのようだ。モジホコリ属のモジホコリもいて、同様に黄色いのでどちらかは少し自信がない。南米かどこかでは食用にするとかしないとか。害はないらしい。いやはや食べるほどの勇気はないよ。

雑司ヶ谷・目白散策

雑司ヶ谷、目白建物めぐり

 

  1. 雑司ヶ谷東側エリア
  2. 東京カテドラル、
  3. 雑司ヶ谷旧宣教師館 休館
  4. 旅猫雑貨店 休業
  5. きあずま珈琲
  6. 鬼子母神 御朱印お休み中
  7. 大島神社 御朱印お休み中
  8. 展示室 水彩画展
  9. 自由学園明日館 

 

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朝一で東京カテドラルへ。写真撮影できないようなのでelleの美麗写真と記事を引用。

https://www.elle.com/jp/culture/travel/a31771068/st-marys-sekiguchi-cathedral-sekiguchi/

1964年に12月に竣工した丹下健三さん設計のカトリック東京大司教区のカテドラルだそうだ。吉田茂氏や丹下氏の葬儀もこちらで行われた。伯母は毎年ここで合唱団を率いて歌っていたらしい。行けばよかったな。

コンクリート作りでぼんやりと光が浮かび上がる姿は近未来的というのか世紀末的というのか。

見学は休止中とのことで異教徒ながら最後列で祈らせてもらった。寄贈されたバチカンの聖ピエトロ大聖堂にあるミケランジェロ作の「嘆きのピエタ像」のレプリカが拝める。実物よりも聖母の肩幅が広く左掌もゴツく感じてしまうが気のせいだろうか。

 

雑司ヶ谷旧宣教師館は休館だった。

旅猫雑貨店も営業日なはずだが閉店していた。

鬼子母神の参道にある「きあずま珈琲店」でホットドッグを食べてひと休憩。

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テーブル4席、カウンター3席のこじんまりとしたカフェ。

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背景壁を黒板塗料にするのは良いアイデア。きあずま珈琲店のように絵を描くこともできるし、メニューを書くこともできる。何も書かなくても自然に映る。

 

鬼子母神参り

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鬼だった鬼子母神は帰依してからは安産子育ての守護となった。だから鬼の字から角を外して書くのだそうだ。

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天然記念物の「子育てイチョウ」をドヤ顔で紹介してくれる仁王像。

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境内には駄菓子屋、団子屋もある。


大島神社

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鬼子母神からほんの数分の大島神社へ。御朱印が素敵だと思ったのだが書置きしかないのでまたの機会に来ることにした。

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顔が濃いと思うのだよね。

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自由学園明日館へ。

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フランク・ロイド設計ということで有名な私立学校校舎で現在は一般公開され、コミュニティースクールなどに使われていたりする。

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古いミッション系学校の雰囲気が漂う。

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火のあるところに人は集まるというのが設計士フランク・ロイドの設計信条だそうで暖炉がある。4本の薪の組まれ方がなんとも正しく思えた。

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最もフランク・ロイドらしさを感じるのはこの柱かもしれない。旧帝国ホテルっぽさを感じる。

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ホールの壁に山羊が描かれていたので今後の参考になるかもしれないので撮っておく。これは羊ではなく山羊だと思われる。

 

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尻尾を見ないと確定できないが口を尖らせている山羊に対して丸く明確に描きわけているこちらは羊だと思われる。実際には山羊の口は尖っていて羊は丸いと決まってるわけではない。

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全く今まで考えたこともなかったが自転車で簡単に来れる距離だったし見どころを転々と移動するのに自転車はかなり快適だった。今後はもう少し山手線内の下町まで足を延ばしてみようか。

 

 

ネイチャーアクアリウム

東京ドームで催されているADAのネイチャーアクアリウム展へ。

独自の様式や世界観を確立して世界水槽レイアウト大会を催し、日本から世界標準を確立した天野尚氏は本当に日本の宝だと思う。

https://www.adana.co.jp/jp/contents/iaplc/2017/index.html

 

話は飛ぶが右肩下がりで衰退傾向の日本酒業界がよろしくないのはフランスが作って審査するナントカ日本酒賞に競って応募して受賞を喜んでいることだと思う。根本的に食生活が違うし、なぜフランスに日本酒を評価してもらって喜んでいるのか。日本でももっと青魚の寿司に合う日本酒、マグロに合う日本酒、蕎麦に合う日本酒、ラーメン餃子に合う日本酒、焼肉に合う日本酒などと細分化して評価軸を打ち立てて賞を設立することでより多くの人に「好きな〇〇を食べるときにこのジャンルで日本一の日本酒を飲んでみたい」と思わせることではないのか。そしてそれを他言語で発信すべきだ。

「フランスで評価されている日本酒」なんだとアピールすることがずれているように感じる。むしろ日本としては日本食を常食する味覚で日本食に合うフランスや各国のワインを品評する賞を作り出すべき話だ。

評価する側に回るか、評価される側に回るかにその文化領域の価値創造の主導権を握るか否かの重要な問題が潜んでいると思っている。

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話を戻すと、水景水槽の美意識、価値観と評価軸を打ち立てたADAの天野氏はそういう意味ですごい。

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富士フイルムに天野氏特注のフイルムを作らせてしまうほど、自然景観写真のカメラマンでもある。

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水景の最高峰、天野氏の理念を引き継ぐクリエイター達の手掛けた水槽が並ぶ。私も水景主体の水槽を我が家にも欲しいけれども、二酸化炭素添加、ヒーターでの温度管理、そして照明と揃えていくと設備費がお高くて始められずにいる。

こういう草原のような水景の上部に多肉植物をどかどかと水耕栽培するのが私の理想。

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ガラスも藻が一切生えておらず真横から見ると鏡面となる。

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斜め上から見下ろすと上からと側面からが同時に眺められてこれまた美しい。

 

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お気に入りはこちらの水槽。

 

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ウォーターマッシュルームのような水草が壁面を覆い尽くした水槽。黒い背景と鮮やかな緑の強コントラストが素晴らしい。

 

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ここまで来ると苔の原因となる排泄物をする魚はあまり入れたくなるのかもしれない。

 

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緑の絨毯にするには管理の楽な砂利ではなく土が欠かせないのだろう。私にはハードルが高い。

 

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魚がカラフル過ぎて水面がサイケデリックになっている。

 

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等間隔に気泡を纏う不思議な水面葉。

 

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この水草の新芽の質感も異様だった。一眼レフで存分に撮りたかった。iPhoneではやはり限度がある。

 

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梅花藻のような水中花をつつく魚。

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それにしてもiPhoneの撮影時の歪みは酷い。水槽の直線が左右非対称の凹曲線になってしまっている。こんなだから轆轤で挽いた器を撮影しても歪んでヘタクソに見えてしまう。

 

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白眉は六角の巨大テラリウム柱。

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美麗。


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上部はシダやらの熱帯植物が覆い、霧や雨が下部の水槽に注がれる。そして6面がそれぞれ異なる表情の水景となっている。


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1時間に10分間霧が発生するシステム。潤う。


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やがては撤去されてしまうのがなんとも勿体ない。こんなテラリウム柱のあるカフェがあったら通うのに。6面がカウンター席で目の前の水槽を眺めながら美味しい珈琲を飲めたら癒されること間違いなし。そんなカフェをどこかに作って欲しい。

 

写真撮影好き、植物好き、水槽好きにはオススメの展示会だった。展示期間は11月14日まで。

9月の緑道の花々

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奇麗なトラノオ

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紫色の花が多い気がする。

 

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オキザリスも怪しい紫。

 

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龍の髭。どこら辺が龍なのだろう。

 

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夏の終わりの揚羽蝶

 

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遠目には地味だけれども近づくと清涼感のある緑青色を纏った

 

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ニチニチソウの赤がキツい。

 

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毎年咲くね、彼岸花。毎年、巾着田に行きそびれて後悔している。

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黄花コスモスは粘性の高い絵具を筆で塗りつけたような花弁。

 

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諏訪大社下社秋宮春宮の古木

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こちらが諏訪大社下社秋宮。出雲大社のそれとは逆方向に捻られた巨大注連縄が見所。

 

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出雲大社とは異なり賽銭を挿したりはしない様子。梶の葉紋も上社は根が4本、こちら下社は根が5本。果たして上社下社が武力衝突していた頃も紋は梶の葉だったのか。

 

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端正。ひたすら端正。

 

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上下階に下がる御簾の景観は好み。

 

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諏訪大社の祭神である建御名方神タケミナカタノカミ)は建御雷神(タケミカヅチ)に国譲りを迫られた際に力比べを申し出た。これに対しタケミカヅチの手は氷や剣に変化させ、タケミナカタの手を握りつぶして放り投げてしまう。そしてタケミナカタノカミはすわのうみまで逃走するも追いつかれ、その地から出ないこと、大国主神事代主神に背かないことなどを約束して和睦するといったような旨の神話があるらしい。これは巨木信仰を象徴するタケミナカタノカミが新しい中央集権的体制を象徴するタケミカヅチにとって代わられたことを示しているらしい。

旧体制の信仰がこうして神話の時代から根絶されることなく続いてきたというのも面白い。しかも軍神、農耕神、風の神など新たな性格を纏って。

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高天とダイヤ菊をまだ飲んでない。

 

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諏訪大社下社春宮には秋宮よりも小振りの注連縄がかかる。

 

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三方のガラス戸が素敵。

 

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根が一つ、上部が二股に分かれた杉の巨木。

 

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そして御柱御柱は明治以降は樅の木に限られているのだそうだ。

 

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しかしそれよりも私の目を奪ったのは欅の古木。幹周囲5m前後、樹高30mとのこと。諏訪大社上社の大欅は樹齢1000年、樹高35mと大きく記述も多いが樹勢が無い。こちらの欅はまだ生命力が漲っており迫力がある。しかし注連縄も巻かれず扱いが軽い。

 

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根本のウロ。

 

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地面から吸い上げるフォルム。

 

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枝の瘤化の豪壮なこと。この部位だけで数トンはありそう。

 

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巨木は枯れかけたようなのが多いがここの欅はこの巨幹でありながら瑞々しい葉を広げる。

 

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この欅の樹肌の縄文模様のような蠢きが好き。

 

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