映画

尖閣 IN A BETTER WORLD

思い知らせてやるだとか報復してやるだとか後悔させてやるだとか。 何をしようが相手がそうなるわけがない。せいぜい相手も同じように報復しようとするだけ。 実効支配されても日本が全く竹島の領有権を諦めるつもりはないのだから、実効支配したところで尖…

瞳の奥の秘密

住まいを変えようとも、職業を変えようとも、恋人や家族を変えようとも、人間関係を変えようとも変わらないもの。それは情熱。理由もなくせずにはいられないような何かは変えることができない。そういうものが誰にしもあるらしく、そこにその人の本性が現れ…

モテキ

友人の幾人かが面白いと勧めてくれたので観てみた。おもしろおかしくモテない冴えない男がひょんなことからモテてしまったドタバタを描いている。 しかし、どうにも観ていて不快感が残る。一言でまとめてしまうと不倫相手が構ってくれないので寂しさから男に…

冷たい熱帯魚

ベネチア映画祭で6分間もスタンディングオーベーションが止まなかったという高い評判を聞いて鑑賞したが、吐きそうなほどグロテスク。滑稽に思わないと受け付けられない陰惨なシーン。 俳優「でんでん」の怪演に度肝を抜かれる。本当の悪人はこんなんかもし…

ザ・ボクサー

胸の熱くなる映画だった。スポーツ映画で過去最高の作品だろう。単に過去の栄光をひきずるろくでもない麻薬中毒の兄や狭視野なマネージャーの母と絶縁してどん底から再起を図るというのではない。クリスチャンベールが演じるディッキーのろくでもなさは観客…

ブラックブレッド

内戦直後のスペイン農村が舞台。閉鎖的で嫉妬や偏見に満ちた村人、威圧的で腐敗した役人。真っ直ぐな目で信念と自由を息子に説く父親、身を粉にして働く愛情溢れる母親。そんな安心して見られる構図が次第に明らかになっていく嘘で崩れていく。 自らの親の清…

花のあと

藤沢周平原作の短編小説の一話を映画化した作品。 映画化するからには想像を上回るような美しい映像やリアリティで魅せてほしいものだけれども、原作には遙かに及ばない実写化が殆ど。そんな中で「花のあと」も例に漏れず。 北川景子という人気若手女優が伊…

最後の忠臣蔵

言葉少ななしぐさの中に様々な思いが感じ取れる、心の襞を存分に描いた作品。役所広司の重厚感、桜庭ななみの清廉な美しさ。映像も美しく、素晴らしい作品には違いないのだが腑に落ちない。なんだかおっさんの自己陶酔のように見えてしまう。 汚名を着せられ…

アバウトシュミット

保険会社のアシスタントバイスプレジデントとして定年を向かえ、退社したウォルター・シュミットをジャックニコルソンが演じる。 会社で大部分の人生を費やしてきた者にとって、会社で何を達成してきたかこそが重要だ。そんな言葉を友人からかけられるが大き…

告白

邦画と言えば迫力のある特殊撮影に欠け、日本人向けの心理描写豊かなドラマにしか向かないと思ってきた。単に美麗な景色でとったというのではない、今まで観た中で最も卓越した特殊撮影技法と見せ方で綴られた邦画だ。 命の重みとは何かを、訴え欠けているよ…

英国王のスピーチ

立憲君主制下での王も20世紀に入ると大した政治的権力も持たず、国民の前で演じる役者。王族はもはや最も卑しい身分に成り下がった。そんな王族による自嘲的台詞が繰り返される。 ジョージ6世は体が弱く、幼少期の乳母からの虐待や厳しい躾の心的ストレスに…

The Whistlebrower

この映画は冒頭で告げられるように事実なのか。UNによるサラエボでの組織的売春目的の人身売買。 UNの現地活動員が訴追免除されていることも初めて知った。不正は揉み消され、誰も処分されず、似たようなことは他の戦地で繰り返されているとのこと。 人種と…

ちはやふる

職場の後輩から「ちはやふる」という百人一首の競技かるたを題材にした漫画を借りた。年初に八坂神社で歌留多始め式を観て以来、興味があった。 かるた会という組織に所属しながら、学校のかるた部を通じてかるた日本一を目指すというものなのだが、物語に引…

三丁目の夕日64

三丁目の夕日を観て来た。茶川役の吉岡秀隆が自身が「北の国から」で育ったことを述懐するように、この映画も子役の成長をそのまま見守るような国民的映画になりつつある。 義理人情と家族愛のわかりやすいホームドラマと言うこともできるが、陰惨なシーンの…

ライフ

どうやって撮影したのか。生まれて日の浅いアイベックスが狐に追われ断崖絶壁を駆け回る。やがて狐には届かない岩肌に逃げ込んで難を逃れるのだが、何故狐には届かないのか、その可否を隔てるものが何なのか不思議だった。生来、平衡感覚が抜きん出ているの…

The Tree Of Life

ショーン・ペン、ブラッド・ピット、そしてカンヌ映画祭グランプリということで早速観にいってみた。 しかし監督はテレンス・マリックで、この人は「シン・レッド・ライン」という戦争映画を撮った小生にとっての鬼門の監督。巨匠、感動作という言葉に釣られ…

コクリコ坂から

終始ノスタルジーに包まれた青春恋愛版「三丁目の夕日」あるいは「耳を澄ませば」に似た印象。1960年代にも数々の時代の負の側面があったのだろうが、懐古的で肯定的なものだけが画面には映し出される。嫌な記憶は忘れやすく過去は美化しがちだけれどもそれ…

八日目の蝉

八日目の蝉という邦画を観た。 地上に出て七日間しか生きないという蝉。八日目の蝉は他の蝉が見られない八日目を見られて幸せなのか、はたまた孤独なのか。そんな感傷的なエピソードが出てくる。 そもそも世界中の蝉が同じ日に生まれる訳ではなかろうに。自…

ラストサムライ

民放で放映されていた。つっこみどころが多すぎて悲劇の中にも多少の笑いが混ざる。計算ずくで狙ったのだろうか。種子島に火縄銃が伝わって半世紀もたたぬうちに日本は50万丁以上を保有し、西欧を含めて世界最大の銃保有国となっている。明治維新から遡るこ…

ヒアアフター

クリントイーストウッドはもう人生の黄昏時を歩いているのかね。自分の人生を反芻するような描写が多いし、明らかに自分の死を意識し始めている。 グラントリノではクリントイーストウッド自身がどのような死に方をしたいのかを描いたように思うし、今作では…

ザタウン

ままならぬ冴えない日常から抜け出す為に、あるいは今までの自分を変えるために一発逆転のセカンドチャンスを夢見る人達。 ストーリーはなんてことない。銀行強盗とそれを取り巻く人間模様。銀行強盗をやり遂げ、主人公だけハッピーエンドで何か騙されたかの…