四角白黒瓦礫鉢 x エスポストア「デボスキー」

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このエスストアカクタス「デボスキー」はどうやらこの幹の太さのまま長く伸びていくつもりのようだ。植え替えた角鉢の中で鉢と同じ長さまでサボテン本体には伸びて欲しい。

 

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下の綿毛が焦げて黒くなっている。間違えて蚊取り線香の火で燃やしてしまったのだが表面の綿毛が燃えるだけで中のサボテンは全く無傷だった。山火事があっても生き延びるのかもしれない。

上面付近だけ黒い鉢と、根元が焦げて黒いサボテンが面白い組み合わせになった。白い綿毛が増えて伸びていけば上下に白く、中央が黒い不思議な鉢になりそう。

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瓦礫の中から生えているその一画を切り取ったかのような鉢になった。鉢元の通風性が皆無の構造なのだが月に1度の腰水で十分育てられるように思う。育て急いでいるわけではないので乾燥気味にのんびりといこう。


赤土2号 たたら造り 下部マグネシヤ釉、天面 燻釉 電気窯酸化焼成

瓦礫燻黒長筒鉢 x ギムノカリキウム「翠晃冠」

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姉妹鉢とでもいうのかバリエーション違いとでもいうのか。似た形状だがこちらは燻釉を掛けてみた鉢で、こちらの方が少しばかり背も高い。若干、植え込みが左に偏ってしまった。

 

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上部は瓦礫を纏った鉢で岩場に生えるサボテンを彷彿とさせてくれる。黒い鉢も引き締まって見えるので悪くない。黒いプラスチック鉢が飼育の上では温まりやすさも軽さも優れているのはわかるが私としては鉢の形が好みではないし陶器の鉢に植え替えないと落ち着かない。

 

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翠晃錦は花が涼しげで清廉とした風情。黒い鉢とゴツゴツしいサボテン本体との対比も良いと思う。


赤土2号 たたら造り 燻釉筆塗り 電気窯酸化焼成

瓦礫白長筒鉢 x パロディア「獅子王丸」

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すこし前に焼き上がった鉢に植えてみたのだが、良くないだろうか。自画自賛。上出来。自分の狙いは正しかった。異論反論は受け付けない。

サボテンの玉と同じぐらいの太さの鉢、そして根を存分に伸ばせるバランスの良い長さと深さ。工業製品のような型打ちの綺麗のっぺりした形ではなく瓦礫を纏ったような表面。そして面取りの表情。

 

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こちらが裏か正面か。時折り、鉢を回転させて見え方が変わるのは良いと思う。深いスリットを入れてパロディア属サボテンを植えるので乾燥しやすくしている。

 

高さを変えた同様の鉢を並べるとより空間効率よくサボテン鉢を並べることができる。

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棘が特別に太いわけでも紅いわけでもなく、あまり鑑賞価値的好みではないと感じていた獅子王丸だが鉢と合わさって一気に愛着が増した。根も整理したのでこれを機にこの秋に存分に根を伸ばして欲しい。3年ぐらい植えっぱなしで育てたい。

 

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この無作為の面取りの表情も気に入っている。マットで粉を吹いたような柔らかい表情。土を吸いどのように育っていくかも楽しみ。また似たような兄弟鉢を作っても良いかと思う。

 

赤土2号、たたら造り、マグネシヤマット釉薬ドブ漬け、電気窯酸化焼成

多肉近影。茜の塔に虹の玉と薄氷と。

ネットで流れていた話。


在宅勤務の良いところ

1.仕事があること

2.家があること

 

違いない。強烈に嫌なことがあったけれども早計な感情的対応をしないこと。図太く何が大事かを見極めること。この大変なご時世だからこそ欲をかかずに心に余裕を持てるように心がけてトラブルに対処できるようにしておくこと。

大抵、自分が思っているよりもプライドなど過剰に持っているものだし、他の人は自分が思っているよりも自分に対して関心は持っていない。他の人よりも良い仕事をして良い評価をされることが当たり前だと思ってきたけれども、不謹慎かもしれないがこのご時世で優秀な業績なんてものを求めていたらより大事な何かをリスクに晒す可能性もあると思っている。ひっそり、しぶとく。


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 水をたっぷりやって50%遮光していたクラッスラ「茜の塔」が一気に爆発的に徒長してしまった。葉の間も間延びしてしまっている。なんてことよ。

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そしてなんともいじらしい地味で目立たない花を咲かせている。

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セダム「虹の玉」も伸びた。直射日光をガンガンに当てて育てているので徒長ではなく単に伸びすぎて姿が崩れた。

 

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 そして「薄氷」も随分と伸びた。

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 塊のように下葉を枯らしながら伸びていく。元気といえば元気。

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枝が長く伸びていくだけではなく、根元から新しい枝も生えてきている。どこまで暴れていくのか見守っていきたい。

 

真柏のための陶蟲夏草鉢の注文制作2

2日目 台座作り

 

真柏の最高峰は糸魚川産の山深くの岸壁にへばりついて風雨に晒されて過酷な環境で育った、葉が細かくジンやシャリの多い古木だという。

 

真柏の魅力は土の少ない岩肌でも乾燥と風雨に耐えて育つその強靭な耐性

そして部分的に枯れながらもまた枝葉を伸ばしていく、その死を抱えながら生を営む生命力

 

そんなふうに私は理解した。ありがたいことに乾燥に強く風通しが必要であること、岸壁のような土が少ない環境でも育つというのはかなり鉢作りにはありがたい特性で私の鉢と相性が良いと言える。

 

おそらく多肉植物との違いは日本の山深くに自生するので朝晩の霧や降雨で水分を得る頻度は高いのだろう。盆栽で真柏と呼ばれるものは植物学的に深山柏槇とも呼ばれる。頻水速乾の鉢を目指すと良さそうだ。

 

真柏は懸崖仕立てにされることも多い。岩付き盆栽にされることも多い。ジンシャリの生じたような古木はそれでも良いのかもしれないが、まだ数年の若い苗木ならば岩付き風に見えても中にしっかりと土が入っていて根張りできる植木鉢は大きなメリットがあるかもしれない。

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土塊でバランスを見てみる。掌に入るぐらいの団子虫のサイズということなのでそれを乗せる台もそれなりの大きさになってしまう。可愛らしい豆盆栽ではなくかなり存在感のある鉢になりそうだ。

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ある程度は黒土など富栄養で水持ちの良い土を使いながらも湿気が籠らないような鉢を目指したい。水が貯まらないようにする。壁面に通風穴を複数設ける。

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中を荒く刳り貫いた後でドライヤーで表面を乾かし、表面に表情をつけていく。

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さらに中を刳り貫いて薄くし、団子虫を嵌めたり外したりしながら形の調整を重ねて大体の形は出来た。真柏の植込み、表面に張った苔、岩の底から垂れて露出した根。それらが揃えば「こんな植木鉢見たことない」「どこでこんなの売ってるの」というようなかなり個性的な特別感のある鉢になりそうだ。100人に1人が喜んでくれれば良い。

昔作ったような瓦礫鉢の作り方だと岸壁に巨大団子虫が乗ってるようなサイズ感が狂った感じになってしまう。拡大ディオラマに見えるように崩れた土斜面の断面に小石が混ざっているように見えるぐらいにした。もう少し低くすることもできるのだが、試しに下を隠して低くしてみると岩肌に逞しく生えている風情が無くなってしまう。ここは縦方向に嵩張るがこのままで行きたい。台風の際には取り込むなりの管理が必要かもしれない。

 

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左側台鉢の表面に苔を張ることを想定している。テグスや黒木綿糸で苔を抑えられるように糸を巻けるような石の出っ張りの配置と形状にした。苔が生したらなかなか私好みの鉢になりそう。団子虫の一部まで苔が覆ったら最高。

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団子虫と岩の間に隙間を作った。乾燥時の収縮率が黒泥土の方が13%、信楽白土も13%かそれ以上のようなので問題はなさそうだ。一部の根をこちらに迂回して下の土に入っていくようにしたら根が団子虫を抱き込んでいるような表現も可能になる。真柏は枝挿しでも株分けしやすいそうなので、切った枝をこちらから挿して複数株仕立てにしても面白いかもしれない。

 

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こちらの穴からメインの真柏を植え込めるようにした。

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様子を見ながら2週間ほどゆっくりと乾かしていく。まずはムロで1週間ほど乾燥して様子を見て、その後は外に出して芯までしっかりと乾燥させる。問題は乾燥後に素焼きするほどに作品が溜まっているかどうか。小窯を私の作品だけで満杯にするまで他の作品作りを急がないといけないかもしれない。

 

黒泥土 1kg

作業時間 2時間

真柏のための陶蟲夏草鉢の注文制作

このブログを見てくださっているayumittさんという盆栽や写真を趣味にされている方から植木鉢を作って欲しいとの注文を頂いた。育ててらっしゃる盆栽の真柏を植える為にありふれていない特別な鉢を求めているとのこと。

植物愛溢れるブログをいつも書いてらっしゃる方でかつ死んだ団子虫などの一般ウケしない私の嗜好をお気に召してくださる珍しい方。販売目的の作品作りは考えていなかったが私が普段作っているものと方向性が大して変わらないもので構わないようなのでお引き受けすることにした。

 

仕様

  • 岩の上で死んだ団子虫を苗床に真柏が生えているかのように見える植木鉢。陶蟲夏草鉢と岩付盆栽を合わせたイメージ
  • 傾いた鉢に斜めに真柏を植える
  • 岩肌に苔を活着させる
  • 根上り、根洗いの要素を加える
  • 岩は内部をくり抜き一体化させて団子虫の体内では不足する土容量を補う

 

詳細の検討

  • 団子虫は白土を使って死後乾燥して白化したイメージにする。シャリが出る真柏に呼応させる。白い釉薬を掛けるかは要検討。
  • 岩は黒土を用いる
  • 岩の割れ目に黒系釉薬を入れて割れ目を強調する。
  • ところどころにシリコンカーバイドを添加した釉薬を筆塗りして苔を活着しやすくする
  • 団子虫の外にも根が這うように、その根が岩の中に入れるように穴を空ける
  • 岩の下部に根洗いのように根が飛び出ているようにみせるべく穴を空ける。水抜き穴兼用
  • 高さが出るので岩部分の重心は低めに作る

 

1日目 団子虫成形

真柏は「神(ジン)」、「舎利(シャリ)」と呼ばれる生きながらも部分的に枯れて白化した枝や幹が大きな魅力の一つだそうだ。ジンシャリで真柏盆栽の価値が変わると言っても良い。当てている漢字を見てもわかるように盆栽の中でもとりわけ真柏には多分に宗教的死生観が投影されているように感じる。松柏と並び称されるだけあり、岩肌で風雨に晒されて育った山採りの真柏は盆栽の中の王なのだという。

 

ayumittさんのはまだ若い真柏でシャリはないようなので願わくば団子虫の鉢が遠目にはジンやシャリのように見え、真柏が育ってシャリが生じた際には一体化したように見せられると良いのではないか。

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幸にして再生した粘りの弱い信楽白土があったのでこれを使ってボロボロと風化して崩れつつある土の質感を出したい。土で作る団子虫だからこそ、滑らかではなくひび割れて乾いた表情を出せればと思う。土に粘りがないので脆く、素焼きまで無事に辿り着けるか不安は大きい。通常よりもゆっくりと乾燥させることを心掛ける。

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多肉植物で茎を植え込むだけならばもっと閉じて丸まった団子虫形状にして茎を差し込むだけの穴を開ければ足りる。しかし植えるのは真柏なので幹の周りの根上がりも魅力として出せるように開放部分を大きくとることにした。

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団子虫の眼は写実的にするとあまりに目つきが鋭く細くて可愛げがないのでもうすこし大きく丸くデフォルメする。触角が脆いので次回にもう少し乾いてから口吻周りを整えることにする。

 

造形 2時間
素材 信楽白土400gほど
 
 
 
 

遺跡吊り鉢の習作

今後、作っていきたい植木鉢を模索するうえで習作というか練習の一鉢を作ってみる。要素過多になるかもしれないが良しとする。工数をかけずに作り込まずに仕上げる。造形1日、釉掛け1日で後は素焼き、本焼きの待機時間。

 

仕様

  • 吊ることを想定した多肉植物用植木鉢
  • 全体としては岩の塊+遺跡+植物
  • 苔を表面に活着させられるようにする。緑に活着させた後に枯れて茶変した苔も風情かもしれない。
  • 盆栽で言うところの「根洗い」表現を取り入れる。根先と根上がり。
  • ウズベキスタンの遺跡のような廃墟化したモスクを作る。
  • 下部に石窟、石造りの家屋を作る。
  • 多肉植物を植え込む。

 

模索、練習したい技法や表現

  1. 建物、遺跡の造形。窓の位置とサイズが嘘くさくなりがち。コツは何なのだろうか。
  2. 階段の練習。
  3. 建物の崩れかけた壁の表現。漆喰壁は白化粧土で表現。下地に煉瓦積みらしき表情を出したほうがそれっぽくなるのだろうか。
  4. 苔を活着させる陶肌。溶岩釉のようにして気泡を吹かせてみようかと思う。ドーム屋根の上に塗布してみる。活着させる際の糸を張るために穴を数か所に開けよう。
  5. 剥がれ落ちかけている装飾タイルの表現。点描のように面相筆でトルコ青や白の釉薬を置く。禿げて崩れた表面を表現できないか試みる。
  6. 岩肌表現の模索と練習。黒系釉薬を岩の割れ目に入れて割れ目を強調してみようかと思う。石で表面を押すだけだと不自然。出っ張った塊が必要だと思われる。
  7. 黒系釉薬はいぶし釉、マグネシヤマット、金ラスターを塗り分けて表情を比較する
  8. 根に土塊を絡めて吊るす。
 
8月 造形

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 ありそうなモスクの形。屋根は泥を塗って荒らした。ここに溶岩釉を掛けて苔を活着させられるか試す。建物の細部を作り込みたくなるが我慢。

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反対側は崩れ落ちたようにして大きな穴を開け、植物を植え込めるようにする。

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崩れ落ちた壁と思わしき瓦礫を建物の周囲に置く。

 

厚く作って中から押し出して割れ目を作る。

コンクリートや石の形押しだけでは凹凸のうち凹部しかできないので不自然。出っ張りを付け足す。

ナイフで平行に切れ目を幾筋も入れてレンガ壁の表情を一部に作ると良い。