息子の生誕一周年を記念して造った陶鉢を漸く京都の工房から回収した。
高台には「○○(息子の名前)一才ヲ祝シテ」と彫ってある。こんな個人的な器を焼成した挙句、工房に置き忘れられては迷惑だろうな。急ぎ、工房に連絡を取り、焼成費を銀行口座に振込み、着払いにて郵送してもらった。
恐る恐る、緩衝材を開いていく。完成品をいざ手に取ると落胆することの方が多い。単なる器の一つならば構わないが息子の成長記念の器でしかも一つしか焼いていないので、期待は大きい。円の鉢に飽きたので撓ませてみたが、わりかし綺麗に楕円形になっていた。心が弾む。
焼成前。土っぽさと白釉薬の清楚さを出したかった。ごく薄く白釉薬が乗った部分は薄らとした焦げの濃淡になってくれればと思った。
白マット釉はもっと分厚く白く掛かるかと思いきや、土肌が透けるほど。焼けると轆轤痕が強く出た。雲とそれに乗る息子をシルエットで描いてみたが、輪郭外周が焦げて色濃くなり、なかなか味があって良いのでは無いかと思う。筆で釉薬を載せても殆ど焼け飛んでいただろうから撥水剤で型抜きしたのは正解だった。
裏には麒麟を白化粧土で象嵌したのだが、表の土と焦げた風合いに対して化粧土の白さが浮いてしまっている。もう少し汚れてくれるといいのだけれど。薄めた柿渋で汚してみようか。
さて、これに息子と同じ樹齢の京都の寺から拾った種から育てた楓を植えるか。しかし樹齢1歳半の楓は弱々しく、鉢植えだと少しの水切れでダメにしてしまう懸念が強い。やはり安心して育てられる多肉植物にしておくか。