双頭山羊鉢と釉掛け、新素材で実験的試み

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先週作った頭の部品。夏場はムロの中に入れていても乾燥が速く、翌週には作業を続けないと乾きすぎて組み立てられなくなってしまう。

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前脚が4本。

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それを組み立てた。両方が前。

子供の頃に好きだったドリトル先生という児童書に「オシツオサレツ」という両方ともが前の珍奇な動物が出てくる。Pushme-Pullyouという名前なのだが、日本語名だと押して押されて両方から押す名前だが、片方が前に進むともう片方は後ろに引っ張られるから「オシツヒカレツ」にすべきだったのだろうな。作りながらそんなどうでも良いことを思った。

作品の発表当時は問題がなかった黒人表現がその後、問題視されて「ドリトル先生」はいくつかのシリーズが絶版となったと聞く。

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蹄と角、眼には黒土を塗った。巻き角の山羊は巻いた紙を口に挟んでいる。山羊なわけだし、書斎に置く予定なのでなんとなく。

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捻れ角の側は前脚が細く、おそらく雌。雌雄鉢ということになった。

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もう2時間もかからずして完了。細部をいじり続けたい思いはあるが、雑さ、粗さの残る指跡を感じる造形にしたいので打ち止め。

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もっと胴を長くすることも、胴を太く土容量も大きくすることも考えたが、硬葉ハオルチアをこんもりと植え付けるバランスを考えてこうなった。


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素焼きした山羊もマグネシヤマットを筆で塗る。角は金ラスター。蹄は黒土をそのまま露出させる。

肋骨や足廻りをもっと肉付けする予定だったのだが、作業途中で日数が開いてしまい、ムロの中で乾燥しすぎてしまい修正できず。そんなわけで不本意な造形となっている。もったいない。砕いて溶かして作り直すのも億劫でそのまま仕上げることにした。

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目が細い。

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後ろからのシルエットはまずまず。角を見てくれと言わんばかりに顔を傾げている。

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尻尾もやたら立派なのに足廻りと胴が貧相な山羊になってしまった。


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蚕蛾。無事、素焼きできたのによりによって釉掛けする際に触覚を折ってしまった。不注意なんだよな。ミスが多くて調子が出ない。そんなわけで未だに完全体の蚕蛾が造れていない。

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蠅取蜘蛛と団子虫、再び。


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実験的な作品その一。歯車を象って何か作ってみたかった。

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これを窯場で立体的に組み立てて焼こうと思っている。金属質にしたかったのでここはやはり、金ラスター釉の筆塗り。

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こちらは余剰に作った歯車。辰砂にドブ漬けした。小さな足がついているのでコースター、あるいは鉢置きに使えるかもしれない。


実験的な作品その二。

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ホコリカビのような形状の植木鉢。常盤忍を植え込むか、サボテンを植え込むかは思案中。辰砂をドブ漬けした後に特殊なこれまで使ったことのない釉薬を掛けている。黒く網目状に表出し、その隙間から下地の釉薬が現れるという不思議な素材。さあ、どんな焼き上がりになるのか戦々恐々。祈るような気持ち。

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新しい釉薬なのであれこれ探究してみる。左から黒土に辰砂、赤土に辰砂、赤土に金ラスター、黒土に金ラスターを釉掛けし、さらに黒い網目が表出する特殊釉薬を筆塗りした。どぎつくなって使い物にならない可能性も高い。こういうのは本来、テストピースを焼いて望む表現を確認してから作品に施釉すべきなのだろう。手間をかけた酒杯型テストピースでハイリスクな一発勝負。ここら辺が手間暇を惜しみ時間のない素人陶芸。

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造形は悪くないと思うので、まともに焼き上がって常用の酒器に仕上がって欲しい。

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釉薬目は黄伊羅保ドブ漬けに黒網目の特殊釉薬を筆塗り。


今日は長く6時間も工房にいた。作業の合間、合間に明日からの仕事のやることリストをメモしており、日も暮れる頃には制作は進み、仕事の準備も進んでいる。日常の全てを忘れて作陶に没頭するのが理想だけれども、今の私には必要なやりくりなのだろう。