子供の夏休みの自由研究に並走して私も何か取り組んでみようと思い、豚足標本を作ることにした。仕事がえらく忙しかったのだが、親とて仕事を言い訳にして自由研究から逃げてはいけないと思い、自分に追い込みをかける。
いざ、出来上がってみると、えもしれぬ満足感。豚足を甘くみていた。骨だけになるとほっそりとした造詣はなんとも美しい。
豚足を肉屋で購入。2本で298円という安さ。豚足を素人が見ても前脚か後脚か、左か右かもわからない。この丸くぼってりとした肉塊を見ても標本の姿は想像し難い。
味醂と醤油、生姜で甘辛煮にする。美味い。ナイフで取り分けた。
骨周りにまだ肉はついているが、それを3時間ほどグツグツと弱火で煮込む。まさしく豚骨スープだ。
盛り付けがよろしくないけれども、豚足コラーゲン入り豚骨ラーメンはあっさりとしつつ味の濃い豚足もアクセントになって美味しかった。
豚骨スープを取った後も、再度自ら煮込むこと1時間。歯ブラシで残りの肉をこそぎ取ることにしたのだが、なかなか作業は捗らず。口の中に入れてしゃぶっては出し、しゃぶっては出すほうが遥かに捗る。
そして肉がある程度取れたところでガラス瓶の中に入れてポリデント投入。ポリデントは微温湯で活性するそうなので、ヨーグルトメーカーで40℃近くに温めながら一晩。
さらに翌日、ポリデント溶液を捨てて軽く水洗いし、骨の脂を抜くためにアセトンの中に漬ける。アセトンは100円ショップの化粧品売場で売られているネイル落としで代用できる。200円の葡萄の香りのアセトンを購入したのだが、これが良かった。3日ほど漬けた。ちなみに脱脂するだけで骨はだいぶ白くなる。黄色いのは脂が原因だったようだ。
乾燥中もアセトンの匂いがきつい。幸にして葡萄の香りのアセトンだったのでそれがしばらく臭うだけだったが、シンナー臭がしばらく続くとなるとしんどい。
骨の配置を確かめる。指はパズルのようだが、唯一無二、ピタリとハマるので間違える心配はない。むしろ指よりも手根骨が向きや並びを特定するのが困難。
石タイルの上に置くのも組み合わせとしては悪くない。静物としての存在が引き立つ。右脚豚足と判明。
骨同士がうまく噛み合った際に、なんとも言えない爽快感が得られる。
こちらは前脚豚足と判明。ドリルで骨に穴を開け、針金を通しているのでバラける心配がない。棒の支え無くして副蹄が浮いたままの形状が保持されるので、手間はかかるが針金を通したほうが良い。
製作費は1200円もかからない。豚足は2つで298円。ポリデントが698円もしたが、40個入りのうち38個も残ってしまっている。ほかにアセトン200円、部屋に転がっていた2×4端材、余っていた名札金具。ただし手間は8時間ほどかかった。
惚れ惚れする。次は手羽元の標本を作ってみようか。首無しの鶏を丸ごといってみようか。クリスマスを豪華に七面鳥丸ごとオーブン焼きにして、それを標本にしてみるというのもコロナが続く在宅の余暇には面白いかも。