長いこと窯出ししてから部屋の片隅に放置されていたひしゃげた沓型鉢を突如、思い出して引っ張り出してきた。おまえさん、出番が来たぞ、待たせたね。
この細長い形状はピランシーの形状と幅寸法にちょうど良い。下の空いたスペースから水を注ぎやすいのも良い。
鉢の横筋が入った上部は無釉の焼締め、下部には薄く白マット釉を掛けて酸化焼成している。
横から見ると、鉢にはそれなりに深さがあって根を伸ばす余地があることがわかる。完全に鉢の縁よりも葉が上になっているので、今後も葉がさらに大きくなっても対応できそうだ。
横から見ても、肉厚ぶりが魅力的なピランシー。どうせなら臥牛のような和名が欲しかった。ガステリア属の名前の由来は胃袋=ガスターのような形の花を咲かせるからだそうだ。そういえばガスター10という胃薬があったっけ。なるほど、胃と牛は連想できなくもない。そういう点では、フォーカリア属に「波」がつく和名が多いようにガステリア属は牛シリーズで揃えて欲しかった。「牛歩」とか「蝸牛」とか「霜降」とか。
土色の陶肌はなんだかインパクトに欠ける気がしていたが、濃い緑のガステリアと合わせるとなんだか優しい色合いでこれも有りなのではないかと思っている。
なんとなく、ウミウシのような印象。
ガステリアは放置が肝心。気を回して直射日光に当てたり、甲斐甲斐しく水をあげてはいけない。過干渉禁物。放置気味に距離を置いて見守ること。たまに存在を忘れるぐらいに。
冬も屋外で過ごしてもらおう。