私にとって高円寺でイチオシの桜。
徳川家光が鷹狩りの際に休憩に立ち寄っていたという宿鳳山高円寺。そのお寺からほど近いところにある。
とびきり大きい。制限されることなく存分に伸ばした枝。こんな桜が街中に生えている奇跡。
背景が突き抜けるような青空ならばなお、綺麗に写せただろうに。
廃墟と一体化しているよう。まるで廃墟を苗床にして生えている桜のようだ。
私が陶蟲夏草で形にしようとしているコンセプトと通じるものがある。
この朽ちた雰囲気がたまらない。それでもってこの暗さに桜がよく映える。
コントラストが強いほど映える。苗床が朽ちているほど花咲く植物が。
私の陶蟲夏草に足らないものがわかった。蟲をもっと朽ちさせるべきだな。
廃墟より桜の樹齢のほうが古いように見える。建てる際に既に桜は立っていたのか。桜を伐採せずに寄り添うように建てたのならば、なんとも粋なことではないか。
廃墟が行政代執行で撤去されてしまうのではないか。その際に伐採されることを危惧している。
私に何に使っても良い1億5000万円の余剰資金があれば、この土地を桜ごと購入して木造家屋を建て直して、2階に桜に包まれるかのような縁台を設けたい。それでもって陶芸工房とカフェと宿を営みたい。