根を生やして育てる鉢植えのほうが良いものだと思っていた。切られた花を店から買ってきて飾るのはなんだか、味気のない消費に思えていた。
しかし庭先で咲いては枯れて移ろう花々を切花として室内に取り込む一輪挿しもアリだと思い始めた今日この頃。
縁の薄さは好みな仕上がり。縁を直線にせずにちぎれたような表現にできた。
原種ヒヤシンス。
ムスカリは爽やかな色合いで、細やかなグラデーションが美しい。
原種チューリップ。すっかり植えていたのを忘れていたが2年後の今年、ニョキニョキと生えてきて咲いてくれた。隠したことを忘れていたへそくりを数年後に見つけた嬉しさ。
朝の陽光で光り輝く。庭に咲いていると大型で色の強いチューリップと比較して地味に思えてしまうが一輪挿しにすると清楚な色合い、ちょうど良い大きさ、細身のすっきりした輪郭でとても好みだ。
おや、閉じたら色が濃くなった。
一旦、枯れたと思っていたスプレーマムという枝分かれして咲く菊が年を隔てて咲いてくれた。
浅黄水仙。フリージアとも言う。陰影がドラマチックに表れた。庭ではなんだか雑草のような扱いをされていて、咲くとお前だったかと気づく。
鈴蘭水仙。白に白ってのも爽やかで嫌いじゃない。
制作者は思った。これなら「売れそう」だと。勘違いかもしれない。
土を入れて根を張らせて多肉植物を植え込んだ陶蟲夏草鉢よりも、切花の一輪挿しとして使えるガラス瓶カバーのほうが手軽に花を変えられるし、水を入れ替えるだけなので管理も楽だ。こういうほうがより多くの人にウケが良いのだろうな。そして蟲よりも山羊や鹿の頭の方がウケは良いのだろうな。そんなことを思ってしまう。
受け入れてもらえるモノと作りたいモノが一致するとは限らないけれども。