どこかでそんな記事を見かけた。
コロナ禍で全社メールで「みなさん社員は家族です」みたいな内容のものが送られてくることがある。コロナ禍の大変な時代にあって連帯を促し鼓舞しようという意図だろう。
社員は家族なのか。そんなわけなかろう。
家族に評価づけ、査定などしない。
SだのAだのCだの格付けしない。
昇進や異動の話で暗にもっと頑張るように焚き付けたり脅したりなどしない。
経済状況が悪化したからといって人減らしなどしない。
信頼関係の構築が大事だとトレーニングのコーチは言っていた。月に数回しか画面を通じてしか話さない外国の相手をどう信用しろというのだろうと言うのが本音だ。
勝手に信頼を根拠にした贔屓を期待して、信頼してたのに裏切られたと騒ぎ立てる人よりも、そんな虚構は切り捨ててお互い淡々とプロフェッショナルとして割り切った業務対応をしてくれる同僚の方が信頼できる。
幹部育成トレーニングのようなもので私は人が好き、自分のチームのことを常に一番に考えていると言う同僚が多くいることに驚いた。よくそんなことを恥じらいなく言えるな。そんな人が多いなら目の前の状況はどう説明がつくのか。部下思いなマネージャーアピールかとも思った。もしかしたら私と違って他の大多数はそうなのかもしれない。
あなたたちのことを気にかけてます。困ったことがあったらいつでも相談して。全力でサポートするから。そんなことを言う人でいざ何か不都合な矛先が自分に向かったら容赦なく責任転嫁した人をこれまで何人も見てきた。自分の評価やキャリアが脅かされると察すると唖然とするほど有言不一致な振る舞いをする人は珍しくない。
社員は家族だと言う全社メールに、
それと真逆のような課せられた目の前の仕事に、
部下を育てようとあれこれ足掻いている自分の空回りっぷりに、
株価がコロナ禍で加速的に上がり続けていることに、
上級管理職になるにつれ傾斜して上がる報酬に
その見返りを前にしたら茶番を演じるのも無理もないという身も蓋もなさに、
とても白々しくなる。
私は冷めきっているのだと思う。家族を養う為だと割り切って茶番に付き合ったらいいじゃないかという思いと、日常の最も長い時間をそんな冷めた姿勢で臨む仕事に費やしていいのかという疑問が定期的に交互に湧く。
前職場の部下から二人で食事に行きたい。こんなコロナ禍の最中なので懸念や不安があれば断って頂いても構わない。私の住む家の近くまで行く。そんなお誘いというか依頼が来た。何か相談事がある気配。会社や組織に対して冷め切った自分を隠して相手の役に立つ前向きな話をしないといけないと思うと億劫になる。