栄光富士純米大吟醸「森のくまさん」

 

f:id:mangokyoto:20210711230606j:plain

栄光富士は私の好きな山形の富士酒造のお酒で果実香の甘旨でかつ酸味も効いたお酒が多い。遊び心あふれる無濾過生原酒を無数に取り揃えており、そんなに大きくない酒蔵にも関わらず四季作りしている。雑菌だらけの梅雨でも夏でも醸造できる設備と技術をもっているということになる。

 

その中で異彩を放つのが「森のくまさん」。栄光富士を作る富士酒造は加藤清正公ゆかりで墓もある山形県鶴岡市の酒蔵なので、熊本藩主でもあり熊本城を築いた加藤清正公の蛇目紋の鎧武者をラベルにあしらった熊本城復興祈願の限定酒となっている。売上の一部が熊本城復興に寄付されるのだそうだ。

f:id:mangokyoto:20210711230857j:plain

くまもんではなく熊太郎。ラベルが可愛いからといってイメージ頼みなお酒では無い。これがまた食前にも食中にも飲みやすく美味い。甘酸っぱさに麻痺するが無濾過生原酒でアルコール度数は16度もあるので油断すると酩酊する。

「森のくまさん」というのは熊本産のブランド米なのだそうで、それを醸した純米大吟醸に同じ銘を冠したのだそうだ。

とても練られた企画品だと感心する。

f:id:mangokyoto:20210711230701j:plain

私は密かに数年ほど前から利き酒師の資格を道楽で取ろうかと思っている。しかし、結局は私の好みの酒しか興味がなく、世間一般的な好みや評価に興味はない。あまり好きでは無いタイプの日本酒を深く知る気力がないこともわかっている。自分が好きなお酒の知識を深めたいのであって、周りの人に好みの酒を見つけてあげたいわけではないので資格をとる意義があるか逡巡している。

 

また外国人がたくさん来日するようになって、私ももてなす機会が増え、

「そういうワインが好きなのか。だったらこんな日本酒はどう?」

「美味い。なんだこれ。日本酒ってこんなに美味しかったのか」

という展開は楽しそうではあるのだよな。悩ましい。