高円寺の贔屓の蕎麦居酒屋「椿」

私が通っていた店にルック商店街の3階にある「紅い花」がある。コの字カウンターの和風で大正や昭和初期の店のような雰囲気を纏った燻銀の蕎麦居酒屋。

それがコロナ蔓延時に休業したまま閉店してしまった。高円寺で閉店を惜しまれるのは「てんてこ」「ビストロフレール」そして「紅い花」。

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その紅い花の店長さんが姉妹店の「椿」に立っていると聞いて伺った。少しお痩せになったか。覚えていてくれた。

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味がしっかりと染み込んだ玉蒟蒻がお通しとして出される。懐かしい山形料理尽くしのメニュー。

相変わらず何を食べても美味しい。春野菜の天麩羅。木耳の味噌和え。
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山形料理の店で酒も山形の地酒が揃う。上喜元、栄光富士、東北泉、白露垂珠、大虎、杉勇、そしてこの30代の若い杜氏が仕込む吾有事。吾有事の大吟醸濁酒があるというので頂いた。澄んでいて甘く香ばしい。
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カニクリームコロッケ。刺身の盛り合わせも美味しいのだろうな。

 

大将を慕って面白い客が多くくる。大将のパートナーも現代美術の作家だ。最近、6Kのアトリエを兼ねた家に引っ越したそうだ。和裁も始めたとのこと。演芸、芸能、サブカル。大人な振る舞いの適度な距離感を持った客が多いので落ち着く。高円寺に長い人も多く、様々な話を聞けるのも楽しい。

大将は幅広い分野に造詣が深く、毎回何がしかのことを知る。鹿の標本の話から膨らみ、長野の諏訪にある「守矢神長館」という藤森建築の資料館の存在を教えて頂いた。
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酒を変える。色好い返事は東北泉から出ている銘だそうだ。
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そして締めは必ず盛り蕎麦。手打ちの蕎麦だ。

 

「紅い花」の閉店は残念極まりないけれども同じ大将の同じ味の店が見つかって嬉しい。「紅い花」よりも大将との距離が近くなり話しやすくなったようにも思う。店主と集まる客目当てに行く店というのが高円寺に4店ほどある。

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18:00〜01:00。工房からの帰り道にあるのでまた時折、通ってしまいそうだ。