代官山のLurfで私がかねてより尊敬し憧れている彫刻家の清水ちえさんの作品が展示されていると聞いて2時間半の隙間を駆け足で見てきた。
欧米人の顔つきの彫刻を作る人は日本にも無数にいるが、いかにも日本人らしい顔つきの写実性の高い彫像を造る作家は案外少ない。
東京藝大を卒業して3年後の1996年にニューヨークに渡り、これまでずっとニューヨークで創作を続けているのだそうだ。人種の坩堝だからこそ日本人であることを強く意識し、能などの古典モチーフを取り入れ、日本人らしい顔を探求しているそうな。
筋肉や骨格が透けてきそうなリアリティがある。ニューヨークに渡ってから徹底的に解剖学を学んだそうだ。作品を作るたびに少しづつ上達していると感じるし、昔の作品の完成時点では最高のものができたと思えた造形も今となっては巧いとは思えないという。
元となる粘土の彫像はシリコン型を取った後はバラバラになってしまうそうだ。作品を量産はしたくないので一つの型から4〜5個しか複製しないという。
型から石膏とセメントを混ぜたもので作品を複製し、彩色して完成させるまで一体4〜5ヶ月、今回は個展が決まったので突貫作業で3ヶ月かかったそうだ。膠、胡粉、顔料と日本画の材料と同じだ。濃い肌色、緑、紫など10層近く塗り重ねられており、塗った後に擦ることで下地の色が僅かに透けてくる効果を幾重にも重ねて透明感を出しているそうだ。
2,200,000円か。素人が好きで手を出せる世界の作品ではない。他も1,960,000円など。
ハンドクラフト作家の雲上にいらっしゃるファインアートの芸術家。大変良いものを拝ませて頂いた。眼福、眼福。