店舗に置きたいというお誘いに応じて7点ばかりを委託販売をお願いすることにし、初めて納品しにいく。
不特定多数の方に売るのは初めてだ。売るために作っている職業作家ではなく自分が欲しいものを作っているので手放すのは寂しい。そんなわけで記録に残しておく。
ヤマトカブトムシの角の豪壮さに対して眼がつぶらで愛嬌があると思っている。
鉢のへりに捕まった状態で死に、朽ち、胸部と腹部が離れかかっている。次回はもう少し分解し欠損している姿を鉢にしてみたい。
地中から這い出る途中で力尽きた蝉の幼虫。セミタケは地上で寄生し、十分に育った後は宿主を地表近くまで誘導するが蝉は地中で通常は力尽きる。地表に出ているということはセミタケの意図を超えて這い出してきたということ。
力強い蝉には力強いシルエットのドライプランツを合わせる。火焔茸のさらに焔が発散しているような形。
鉢を円柱ではなくひしゃげさせる試みは良い結果となった。
今後はひしゃげた鉢も作っていこうかと思う。鉢の横から這い出ている姿もありかもしれない。
こちらは羽化途中の蝉。長い針のような口吻がある。
次は鉢の横からアクロバティックに身体を反らしている姿の鉢を作りたい。
眼の微妙な凹曲線にもう少しこだわりたい。
蝉は冬虫夏草のイメージが合うのでさらにさまざまな姿を作りたい。
ノコギリクワガタは失敗が少なく見栄えのする蟲だ。
顎を下に向けさせるか、上に向けさせるかはどちらも捨てがたい。
もう少し付節や脚が欠損して分解された姿も作りたい。
ほほ半分近くが粘菌に覆われた姿でも良いかもしれない。
翁草の綿毛を合わせた団子蟲鉢。
甲殻類に似て美味しい説と土臭くて美味しくない説がある。私は好んで食べようとは思わないが、味付け次第なのではないかと思った。
適度に混ざった釉薬と翡翠色の表情が意図通りに成功してくれて嬉しい。
トゲトゲ、ツブツブとしたテクスチャーの釉薬も試していきたい。錆釉の開拓。
細いサボテンを群生させて植え込みたい鉢。
下半身を空洞に作る仕様は悪くないと思う。もう少しサイズの大きな鉢を作りたい。
売れずに店に留まって欲しい。蟲好き、陶器好き、冬虫夏草好きに買ってもらいたい、instagramで趣味の仲間になって欲しいという相反する期待がある。
破損せずに持ち帰ってもらえるように梱包準備をする。私の陶鉢は突起が多くてよく言えば繊細、悪く言えば気兼ねなく使うには実用強度が高くない。
クラフト紙で引っ張ると網目状になるものが良いと聞いて買い求めてみた。ハニカムクッションペーパーというのか。なるほど、クッション性もありまとまりもあり使いやすい。シュレッダーされた紙材などよりも保護力がある。
なかなか良い感じ。
さらにプチプチを折りたたんで二重にしたものを一巻き。幅40cmのものを半分に折りたたむと20cm。これを箱の長辺方向に入れると鉢の中で鉢の上下に対して動かなくなるので都合が良い。
それをシンプルな焦茶色の厚紙製ギフトボックスに収める。過剰包装とも言えるが、破損を防ぐためにはやむを得ない。
案外、作品以外にも包材にも費用がかかるものだな。手間もかかる。
クラフト紙になんちゃって標本ラベル風な値札を作って印刷してみた。採集者は私です。もっと掠れた印字のもの、コーヒーで染めたアンティーク調の紙など拘りたいところではある。
値札立ては店の雰囲気を汲んで真鍮のものを購入。
作品が売れた後は寂しくなるので売れてなくなった作品の写真を置いてもらおう。
陶蟲夏草のQRコードを載せたショップカードというか名刺も作りたいのだが間に合いそうにないのでコンセプトを書いたカードを置いてもらおうかと思う。
屋号と商品のブランディングを考えるとあれこれと、終わりのない改善を始めたくなる。
まずはロゴを作らないと。
作品に押す落款も作った方が良い。
陶器の棚上の立看板も作りたい。
その場では買わなかったお客さんに持ち帰ってもらうQRコード付きの名刺というかショップカードもあった方が良い。