8年間も住んでいて気づかなかったことに愕然とした。環七から入り早稲田通り沿いの細い路地の奥にある喫茶店を見つけた。
緑のレトロな看板は喫茶店「ばらーど」
細い細い路地の突き当たり。
苔むした飛石を歩き椿の生垣を抜けていく。
昔ながらの和風な佇まいを残す民家を改築した喫茶店だった。十人いれば十人がカフェではなく喫茶店と呼ぶだろう。
角のない丸みを帯びた十字の孔のある背もたれの椅子になんとも品がある。
テーブルからの坪庭の眺めも癒される。
正直に言ってモンブランは好みのケーキではない。しかしケーキがこれ一種だけだというので仕方なく注文した。
珈琲は最近流行りのシングルオリジンとは違い気を衒うところのない深みのある安定した老舗のブレンドの味。
美味しい。予想外に美味しいモンブランだった。私のさほど好みではないモンブランとは別種のリキュールが効いて重すぎないとても美味なモンブラン。ケーキはこの一種しか置かないのも納得がいく味。
モーニングのたまごサンド500円も美味しいらしい。次回に是非食べよう。
物静かな老夫婦が営んでらっしゃる。喫茶店経営は昭和41年に神田で始め、上野を経て京橋で11年、中野に移転して8年だという。中野のご自宅のリビングを喫茶店に改装されたのだそうだ。
半世紀、50年をかけて洗練し最適化された珈琲であり、ケーキなわけだ。他にお客さんがいない時があればもっと話を聞いてみたい。
これは再訪必至だな。
街に長くあって欲しい喫茶店。なぜ今まで知らなかったのだろう。そして未だに住む街に発見があることが嬉しい。
9:00〜17:00