シアトルにアマゾン本社はあるのだが、大きなビルが1棟、本社として存在しているわけではなく20棟近くの本社ビル群が密集している。その1棟にスフィアと呼ばれるアマゾン=熱帯雨林オフィスがあり、土曜日は外部にも一般公開してくれているので見学してきた。
いやいや、本気かよ。スペインの王立植物園よりも圧倒的に見応えのある本気の植物園。
巨大なシダ類が美しく葉を広げる。ちなみにこの日のシアトルの外気温は3℃だ。
5階ぐらいが吹き抜けになっており、カリフォルニア州から移植された巨大な樹高15mのフィカスが伸び伸びと育っている。建築時に天井を開けてクレーンで吊り下ろしたそうだ。そして巨樹を囲むようにキャノピーウォークやテーブルとイスが散在している。オフィスなのだ。
管理スタッフが何人もいて手入れをしているからか、植物はとても瑞々しく元気だ。
ウツボカズラも大小様々な種類が生えている。
オフィスです。何度でも繰り返す。
壁面緑化も本気度が違う。
なんと屋上階にはデッキベッドがあり、実際に寝転がりながらPCを開いて作業している人がいる。
お馴染みのスマイルマーク。下にテーブルとイスがありPCを開いて作業している人がいてもお構いなしに頻繁に霧が壁から噴霧される。熱帯植物が元気な理由はこれか。
このスケールの大きな壁面緑化と骨組みのガラスドーム。素晴らしい。将来はさらに良くなっていくと夢を感じられる近未来的な何かを久しぶりに見た気がする。
そして気になるシルエットの樹木を発見。
株元には多肉植物やサボテンが元気な姿で生えている。福禄寿錦に紅彩閣、こちらはマグニフィカだろうか。
サボテンも綺麗な株が揃っている。
ハオルチアの鉢、ユーフォルビアの鉢、ガステリアの鉢と系統ごとに分けてくれているのも学術的な探究心が感じられて好感が持てる。
キャノピーウォークの途中に人間用鳥の巣と机椅子、PC作業している人が見えた。何せオフィスだから。
ヘリオスLEDとか話にならない、育成用LEDライトの業務用本気版。雨が多いと言われるシアトルでも元気に育つように設計されている。
植物も日本では見たことのないものがあちこちにある。こんな毛の生えたものや
トゲトゲの生えた葉。何という品種だろう。植物好きにはたまらない熱帯雨林オフィス。
しかもオフィスでありながらカフェもあり、エスプレッソやカプチーノ、アメリカーノなどを頼める。クッキーやドーナツもある。“料理界のアカデミー賞”と言われるジェームズ・ビアード受賞者、レニー・エリクソン氏のドーナツ店「General Porpoise」だ。そんなわけで飲みながらぶらぶら散歩しても働いても良いわけだ。
アマゾン社員は毎日1杯無料だそうだ。$5=700円が無料というのはなかなかなものではないか。
底力を見せつけられたと思ったのがこれ。翡翠葛が見られるとは思ってもいなかった。ヒスイカズラですよ、カズラ界の女王。
フィリピン在住時にもそうあちこちで見られるものではなかった絶滅危惧種。低温に弱いと言われるヒスイカズラが元気に咲くオフィスとは恐れ入った。
ウツボカズラも立派だし元気が良いのだよな。ひたすら美しい。
枯れたり腐ったりした植物を見かけない。いかにきめ細やかに手入れされているかが伺い知れる。
目に優しい。ギスギスしたビジネスの議論を抑止してくれるかもしれない。犬も連れてきて良いらしいし。
ああ、もう眼福すぎる。このオフィスでいつも働けるならばアマゾン本社に転職したい。(建物を出た瞬間にその思いは霧散)
儲かっているならば、いくらでも好きなことができてしまうのだな。この熱帯雨林オフィスに関しては今まで見た企業の中で一番なオフィスだと思った。アマゾンなのでオフィスもアマゾンにしてみましたという壮大な駄洒落。