観光塔に高さなど全く必要はないことがよくわかる通天閣

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1912年に初代通天閣が誕生し、現在目にするのは1956年に再建された誰もが知る大阪の観光名所。高さは108mしかない。
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あべのハルカスの300mには遥かに及ばず、大阪梅田のスカイビルの173mにも難波パークスの149mにも、中を高速道路が通過している大阪マルビルの123mにすら及ばない。150mクラスのタワーマンションなど珍しくもないしもはや誰も名前も覚えていない。f:id:mangokyoto:20240923223536j:image

大阪駅前第四ビルよりも低いこの古臭い塔に開場時間前から行列ができ、入場待ち60分を我慢して日本人も外国人も並ぶ。旅慣れた外国人にはドバイのブルジュハリファを登ったことのある人もいるに違いない。
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結局、人間の身長が2m弱であることはいつまで経っても変わらないし10m以上の高さで死ぬ怖さを感じる。現実感のなくなる300mだの600mだの800mだの、そんな高さになっても相対的に見える建物がなくなって面白さは失われてしまう。
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麻布台ヒルズができるまで長いこと日本一高いビルだったあべのハルカスが見えるが、観光地としての満足度は通天閣の方が遥かに勝るのではないだろうか。ほかの商業施設に入っているチェーンの飲食店やアパレル、雑貨屋をいくら詰め込んでも目新しさを感じない。今年の7月にできたばかりの梅田にあるKITTEもインターメディアテクに類似する施設が無くてどこにでもあるような商業施設がまた増えただけの残念さだった。
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108mの高さの塔に少しばかりせり出した足場とガラス張りの床。これで十分、楽しいのだ。ハーネスつけて縁を歩いたり、もっと低い場所からバンジージャンプしたり。途中がガラス張りになった滑り台を設けてみたり。高度がありすぎて分厚い窓ガラスに隔たれているよりも、風が吹き曝しでワイヤーフェンスで隔たれているほうが気持ちが良い。

何百メートルもの構造体などまったくもって不要。それで連日大勢が千円超の入場料を満足して払うのだ。
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世界各国を旅していそうな英語の流ちょうなメキシコ人と少し雑談した。腕にはなんとも立派なウルトラマンの刺青をしていて嬉しそうに写真を撮らせてくれた。メキシコでもウルトラマンウルトラマンと呼ぶのだそうだ。

大して高度のない塔からの景色を喜々として何枚も写真を撮っていた。
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人を喜ばすことに必要なものは何か。世間を見渡すとそうとう無駄なことをしているような気がする。
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ここらで誰か、30階建ての巨大天守閣でも造ってみないかね。遊び心が不足してやしないかね。
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「新世界」という汚く古臭い街には安く楽しむことの巧みさを感じる。
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そういや、通天閣の中にはグリコの歴史や展示物の見られる無料資料館のようなものがあり、お菓子を売るお店も入っている。大阪難波の有名な看板のあるあのグリコ。
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昭和初期の劇画調のデザインはなかなか味がある。マラソンランナーのようなストイックな表情。文化的滋養菓子という表現もじわじわとくる。
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何はともあれ、通天閣の精神をもう少し見習うべき。