奄美の植物や鳥に魅せられた画家「田中一村」の初の東京での大規模個展に駆け込みで行ってきた。
神童と誉高かった少年は7歳、8歳でもう見事な日本画を描いており、南画や水墨画など作風が点々としていく。奄美に魅せられ移住してからの作風がもう神がかっていて、誰かに評価される為の絵ではなく自分が描きたい絵を描く境地にようやく到達できたと本人が語るのは60を過ぎてから。
彼ほどの才能ある画家が人生を費やして自分の納得できる画風に辿り着くのに50年近くを要し、完成画の素晴らしさが容易に想像できる未完成の作品を複数残して69で亡くなった。
厚く塗られた花や鳥の濃厚な発色、水墨画の技法をベースにした濃淡のある葉の表現。梨花、虎鶫、ビロウという熱帯植物、浅葱斑蝶を描いた作品がどれも素晴らしく好みだ。
猛烈に自分も作品を作りたくなってしまった。展示会のための作品ではなく自分の模索としての作品作り。仕事の合間で制作している自分には人に評価されるための作品を作ってられるほどの時間はない。
以下備忘録
南天とろうばい 赤い茎、ろうばいの個性
雁来紅図 はみ出した構図、弧を描く葉の反復
秋色
桐葉に尾長
菊花図 8輪の菊 右から二番の紫と白の菊
梨花 2羽の鳥の表情
梨花に高麗鶯 色水墨と顔料の盛り付け
忍冬に尾長
パパイヤとゴムの木。逆光が神々しい。
草花に蝶と蛾。
びろう樹の森に浅葱斑蝶。
榕樹に虎みみづく。神々しく見下ろす梟、榕樹の生命力。