伊豆は北川温泉のつるや吉祥亭に息子の誕生日を祝いに来た。以前にも妻と結婚前に北川温泉内にある望水という上等な旅館に泊まったことがある。貸切の休憩室も備えた高層階の檜露天風呂に入って、見渡す限りの水平線から昇る陽が湯船に映り周囲を朱く照らしていく經過を愉しめ、とても贅沢な思い出がある。だから北川温泉はすでに贔屓の温泉街だ。ただ、望水は1人3万円はした。
今回のつるや吉祥亭は山中温泉のかがり吉祥亭と姉妹館らしく、山中温泉で良い体験ができたので今回は箱根や修善寺ではなく、1泊2食で1人1万千円のつるや吉祥亭にした。
ここの白眉は以下三点。
一、黒根岩風呂
わざわざ遠方から入りに来る野天風呂愛好家がいるのも納得の、海岸と一体になったかのような温泉。朝の6時半から入られるので、冬に行けばこの野天風呂に浸かって朝陽を拝むこともできる。女性専用の浴槽は目隠しがあり、かつ湯浴み着もあるので安心。幼児を連れて来ても問題なさそうだし、脱衣籠が常時見えるので盗難の心配もない。北川温泉宿泊者は何度でも無料で入られる、各旅館オススメの外湯と言える。
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二、毎分300Lもの温泉が泉温70℃で湧くからこその源泉掛け流し
北川温泉で最も古い老舗旅館ということもあるのだろうが、旅館備え付けの各風呂は贅沢な加水無しの掛け流し。しかもチョロチョロと溢れ出てるという水準ではなく、絶えず派手に溢れ出ている。だから水面に塵も浮いておらず澄んだ湯に気持ち良く入れる。雄大な眺望こそ無いものの、檜や岩の湯舟が気持ち良い。
三、3階の眺望貸切露天風呂
宿泊者は無料で1時間、眺望の良い貸切露天風呂を家族で利用できる。やはり家族全員で入るというのは愉しいものだ。妻と互いに子供の面倒を見られるのも良い。借りたのはジャグジーの洋風な風呂だったが好みとしては檜の湯舟でも良かったかもしれない。
色浴衣の貸し出し、風呂場備え付けのタオル、11時チェックアウト、温泉の出る部屋風呂、湯上り処での茶や心太のサービス、朝食後も布団はそのままのサービス、誕生日にはスタッフ総出で歌を歌いくす玉を割ってくれる演出、記念写真などなど、今時の個人客ニーズに応えた他旅館で良いと思ったサービスも充実している。
無論、食事も良い。限られた予算だと思うが舟盛りの鯵は鮮度も良く味も濃い。蝦、烏賊、金目、蓮根など15品目ほどから選び放題ですぐ傍で天婦羅を揚げてくれるのも嬉しい。さらには栄螺や蝦を炭焼きして出してくれたりもする。締めは鯛茶漬けと白米から選べる。幼児向けの椅子だけでなく、乳児用のバウンサーチェアまで出してくれたのは初めてだ。
日曜日泊が実質平日扱いだからか、空室もあるらしく10畳に襖で仕切られる8畳間が併設された予約したものより大きな部屋を当てがって下さった。海の眺望はないが廊下を挟んでどの部屋とも隣接せずに突き出した部屋。泣いたり走り回ったりする幼児連れには気が楽になって有難い。これで1万1000円は値打ちがある。長男は3000円、次男は無料。
エレベーターの無い木造旅館でけしてピカピカと新しくもないが、私の期待の
高いサービスや設備に対する充実度は高い。そのバランスがとても秀逸。また来たい。
内装気付き
濡れた十和田石の緑色と白木の色の組み合わせは爽やかで良い