三千院に次ぐ人気観光地、勝林寺僧房の宝泉院。絶えず観光客が押しかけており落ち着いた風情には欠けるが物珍しいものに溢れている。如何にも京都らしい借景庭園のひとつの類型が見られる。
鶴亀庭園の樹齢700年の五葉の松が見所のひとつ。門をくぐって左手から眺めると大きな山笠のような樹形に整えられた松の全容を見ることができる。
建物内から見ると建具と柱が額縁となり、その中に五葉松が納まる見事な眺めとなる。いかにも京都らしい眺めで京都の観光ポスターの構図にもなっている。五葉の松と林立する支柱の豪壮な眺めを見ながら薄茶を頂くことができる。裏方では女性が薄茶を大量生産させていた。もしや小型ハンドミキサーでも使って点てているのかと思ったが、手で一つ一つ点てていた。静々と供されるのとは裏腹になかなかの重労働である。
一体感のある床の間、書院棚も興味深い。軸が一面の書でも絵でもなく、パッチワークのような書で古風な雰囲気の中にモダンな一風。
ここに宝楽園という庭園もある。非常にコンパクトかつ立体的な構造の庭園で、盛砂やモダンな巨大蹲を見ながら沙羅双樹の合間を好き好きに歩いてまわることができる。