9年ぶりの京都。私にとっての第二の心の故郷だ。在住期間としては神戸5年、シドニー4年についで京都に3年だが心の中ではシドニーよりも神戸よりも親しみを覚える。
いろいろすっ飛ばして地下鉄にのり鞍馬口で降りる。
これが京都だよ。単なる住宅街の変哲もない民家のコンクリート塀を背景に杜若の群生と水道メーターを共演させる。オシャレなデザイン事務所の前でも商業施設の店舗前でもなく、そこらの特別にお洒落な民家でもないのに杜若を群生させてしまう感覚。尾形光琳上等。
私が京都で一番美味しいと思っている蕎麦屋に駆け込む。
鮫皮で山葵を降ろして頂く。10年前からも20年前からも変わらないでいてくれる有り難さよ。
京都で最も好きなカフェ5指に入る「さらさ西陣」という銭湯を改装したカフェを再訪。
何せ1984年から今も変わらずある。リノベーションカフェの流行の遥か昔からここはあるのだ。
銭湯新築当時はとびきりの贅沢にして拘りだっただろうマジョルカタイル。すぐ近くには船岡温泉というこれまた贅沢な普請の銭湯があるのだが、経営者は同じだそうで浴槽も小さく客も少なかったこちらをカフェにリノベーションしたそうだ。
トイレの水場に銭湯の雰囲気を色濃く残す。
建物の雰囲気に頼るだけでなく珈琲も美味しい。紅茶とプルーンのパウンドケーキも美味しい。飲食も隙がない。
綾瀬はるかさんもここに立っていたのだね。
この席が一段高い見晴らしの良い特等席カップルシート。
変わってしまうことが多い世の中で変わらないでいてくれるのが嬉しい。