ご近所を散歩中に見つけた。
テレビの音が中から聞こえてくる。廃墟などではなく、単に鬱蒼と蔓草が外部を覆った家。
遺跡の最深部への入り口のようなドアノブ。ドアノブ無しにはドアであることはわからない。
勝手口が最後に開けられたのはいつなのだろう。なんだかワクワクする森に沈んでいく廃墟感。現代の都会のアンコールワット遺跡。
石の家ならば家の躯体にダメージはなく、好きに生えさせられるのだろうけれども、木造家屋は蔦に覆われると劣化が早まってしまう。
私が興味のある植物や建物だけの近隣地図を作ってみたい。どの季節に何がどこで咲くか。どんな建物があるか。形に残らない、2022〜2025年ごろを思い返せるだけの無目的な記録。
10月2日のこと。高円寺宿鳳山の近くの廃墟桜の枝が切られてしまった。老朽化して歩道の上に枝が落下しては危ないからなのだろう。理解できる。正しい判断だ。しかし寂しい。あの立派な枝振りの桜をいつまでも見られると思っていた。もう暫くはあの雄姿は見られない。そんなことがあって些細なものを記録に残したいと思った。
蔦に被われた民家は12月には紅葉するだろうか。また見に来よう。