黄金絹唐傘茸

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多湿を避けるべき多肉植物の植木鉢にこんなに鮮やかな黄色いキノコが生えてきた。比較的水を好むゴーラムの鉢だから良いものを、サボテンやアフリカ系の乾燥を好む多肉植物の鉢に生えてきたらかなりの危険信号。ここ1週間ほど強い雨が降るので窓を閉めていたのだが、予想以上に多湿になっていたらしい。私の多肉植物栽培スキルもまだまだ低いのだな。

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コガネキヌカラカサダケという本州では自生していない熱帯のキノコだそうだ。市販の土の中に菌が入っていることはたまにあるそうだ。つまり、市販の土は九州や沖縄から来ているのか。

ゴーラムだから多肉植物用の排水性の高い多肉植物用土ではなく観葉植物の土を混ぜて使っているから起きた珍事。しかし他のサボテン鉢も多湿環境にしてしまっていたのは事実なので気をつけたい。

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せっかくの珍客なので鑑賞することにする。

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翌日朝にはこの通り。

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傘が広がると色も薄まった。表面の黄色い粉の密度が薄まったからなのか。

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食用キノコではないらしいが、旨味が強く美味という情報もチラホラ。万が一、体に合わなくて病院に行く羽目になることはコロナ禍では避けたいので食べない。コロナ禍でなければ食べる。

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10時。

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12時。もうしぼみ始めてしまっている。花のようにまた明日の朝に開いたりするのだろうか。

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残念。3時過ぎにはこのありさま。たった一晩の短さだった。美味しくても食用として出回らないわけだ。


お蚕さまの繭化 続々

 

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朱塗の御膳に載せるとそれこそ、「お白さま」という風情。

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透明アクリル板でこの通り観察もしやすいが、実際には蚕は桑の葉のある場所から全く離れず逃亡する恐れがないので蓋は不要なくらい。

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箸は箱と蓋の間に隙間を作るためのものなのだが、まるで食事のようでもある。宇宙食の候補素材として注目される昆虫食の中でもとりわけ蚕は栄養価が高く水分量も多いらしい。しかも九州大学が蚕を苗床にコロナワクチン培養し、食べることでワクチン接種が可能になる研究を臨床実験段階まで進めているとのこと。

 

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イキッているお蚕さま。もうこの頃になると息子は全く平然と素手でひょいと持ち上げて新しい桑の葉に移してあげたりするようになった。

脇に気孔が並ぶ様もわかる。こちらは終令幼虫でさらに葉を存分に食べたら繭作りに入る。ちなみにこの頃になると桑の葉を食べる量は凄まじく、頻繁に糞をする。何度か糞をする様を観察できたのだが人間に例えると人間が赤子の頭の太さの糞を数十分おきにするようなイメージだ。なかなかの迫力。しかも出す時点でかなり乾燥していて糞が落ちると乾いた音がする。水分は葉から全て摂取し、吸収し尽くしている様子。

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二段重網システムがとても機能している。下段の糞受けには大量の糞。蚕を飼育するのには気温は25℃前後、湿度は70〜80度が理想だそうだ。特に終令幼虫は「風で育てろ」というぐらい通風が肝心だそうだ。箱の中は気温24℃、湿度もこの連日の大雨にも関わらず80度と完璧なコンディション。

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先に繭作りに入ったものが2頭。まだ中が透けて見えるのだが、内側に幾重にも繭を吐いてやがては真っ白な繭となる。繭作りを始めた個体は体色が少し黄色になり、体が縮む。

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そして羽化するための完全シェルターの出来上がり。

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どうやらこのペースだと夏休みに入る前に全て繭になってくれそうだ。

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 残念ながら亡くなってしまった個体も3頭いる。同じ環境で同じものを与えていたのに育つ個体と死ぬ個体に別れる理由はわからない。「終令幼虫は通風で育てろ」と言われる時期に連日大雨だったのは負の要因で弱い個体は湿度にやられてしまったのかもしれない。


郷土博物館の学芸員さんの話によると、養蚕家の蚕飼育は1年に1サイクルだけだったらしい。春から秋にかけて2サイクル、あわよくば3サイクル近く回せるように思うのだがなぜ1サイクルだったのか。梅雨だと湿度が高すぎて、晩夏だと暑すぎるからかもしれない。


現代ならば温度も湿度も管理した無菌環境で通年で育てられるようにも思うのだが採算は合わないのか。

 

スコセッシによる遠藤周作「沈黙」

キリスト教は火縄銃と共に日本にもたらされたというのが象徴的に思える。厄災とより大きな厄災か、厄災と希望だったのか。

 

映画で提起される問いのひとつ。なぜ多くの国でキリスト教は迫害を受けながらも普及したのに対して日本では根付かなかったのか。

 

日本人にはキリスト教を理解できていたのかという西洋人視点からの問いも感じられる。

Rodrigues: I worry, they value these poor signs of faith more than faith itself. But how can we deny them?

信仰よりも信仰の徴であるロザリオやイコンをありがたがる隠れキリシタンを危惧しての宣教師の発言。私にはカトリック教会の装飾がその最たるものに思えるけれども。

 

井上という奉行が、宣教師も仏教や神道を正しく理解しようとすることなくキリスト教を押し付けるという主旨のことを言っていた。

奉行としても建前として踏み絵をしてくれるだけで構わないとも言う。踏み絵をするぐらいなら死を選ぶと言う狂信性を問題にしている。徒党を組んで体制に歯向うことなく静かに信仰を持つことは許容されていたが頑なさが弾圧へと繋がった、と。

 

宣教師の混乱と疑念と葛藤も描かれる。

Rodrigues: I pray but I am lost. Am I just praying to silence?

私は祈るが自分を見失った。私は沈黙(するだけの神)に対して祈っているのか。

Rodrigues: Surely God heard their prayers as they died. But did He hear their screams?

確かに神は人々の祈りを聞いただろうが、神は彼らの叫びも聞いたのか。

 

Eternal Damnation 永遠の天罰 なのか

Martyrdom 殉教 なのか

 

キリスト教の教義なるものが当然存在していなかったキリスト自身が生きていた時代、そのキリスト自身がロドリゲスの立場に置かれたならば教義に従うことを強いて死を選ばせるようなことをしただろうか。

 

結局は棄教した二人の宣教師だが信仰は内に秘めて捨てなかったようにも描かれる。

 

見る人によってはキリスト教を肯定的に描いていると言う人もいれば否定的に描いていると言う人もいる。観る者に明確な答えは出していない。人それぞれの疑問への答えを探しながら何度も観て作中に答えを探すような作品。

 

三浦綾子著「細川ガラシャ夫人」をまた読み直したく思った。有力大名細川忠興正室として、明智光秀の娘として仏教にも神道の教えにもアクセスは容易だっただろう彼女を救ったのはキリスト教だった。なぜキリスト教だけが彼女を救えたのか。

 

私は信仰は人を救い、宗教は人を殺すと思っている。他人に働きかけ、信徒としての義務を互いに強要し始め、対人的性格を帯びると禍の種になる。私は私の信仰は人に語らないと決めている。

 

 アンドリューガーフィールドはハクソーリッジと同じ年に演じたのか。すごい充実した年だな。

 

リプサリス「プニセオディスクス」の開花

ふとベッドに横たわりながら目を向けたら寝室脇に吊っているリプサリスの枝先に白いものが付いている。ゴミかと思って寄って見たら花が咲いていた。

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2年前に確か1鉢1500円もしなかったと思う。今になって振り返ると破格の値段。当時から120cmほどの長さがあり、年間で10cm程度しか伸びていないことを考慮すると相当年数の経った株ということになる。しかもこんな花まで咲かせてくれるとは。


どう考えても生産農家が儲けられる気がしない。サボテン愛好家の世界は儲け度外視のサボテン愛に溢れた生産者で成り立っているのではないかと思ってしまう。


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これがサボテンの一種だというのだからサボテンの世界の多様さに驚く。しかも森林性サボテンで直射日光には弱く半日影が丁度良いので日当たりの良い場所の取り合いになりがちな中で室内や屋根の下の緑化には実にありがたい。

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ちょっとばかり梅花のような多肉植物の花。

風が吹くとそよぐ柳のような紐サボテン。その葉先に煌めくように咲く小さな花。長さ120cmとなかなか存在感もあって風流なやつ。


6月下旬の花々


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梅雨入りしたばかりだけど、元気に咲く朝顔を見ると夏の到来感が強まる。

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息子が水遣りしていた実生の朝顔も咲いた。濃い紫よりもこのぐらいの爽やかな色合いが良い。

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3月以来、しばらく花を見ていなかったがまた咲き出した。

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瑠璃茉莉。ルリマツリ。祭ではなく、ジャスミンの花に似ているから茉莉なのだという。この青はなんとも爽やかで庭に植えたいのだよな。今になってシマトネリコの代わりにルリマツリを植えたらよかったのではないかと思っているが、最低気温7℃というのは越冬は少し難しいかもしれない。大きな植木鉢に育てても良い低木。


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そして今の1番の盛りは擬宝珠の花。背丈が低いので犬目線で見る方が楽しめる。

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繊細な色合い。

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木槿。もうこんな季節か。

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ピンボケているが、くちなしは香りが素晴らしい。甘い香りに誘われて花の中には虫がびっしり。

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シマトネリコも地味な地味な花を旺盛に咲かせている。

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ヘメロカリスも未だに元気。

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昔に比べてランタナをあちらこちらで見かけるようになったが気のせいだろうか。



マンゴー殿

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これだけ暑くなってきたのに日向ぼっこは欠かさないマンゴー殿。犬にも日光を浴びてビタミンDを体内生成するような生態があるのだろうか。

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チラッ

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トコトコ

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トッコトッコ

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犬視線で見ると階段の傾斜はなかなかきつく、登り降りは私なら怖いぐらいだ。殆ど家の中にいるが、そこそこの運動になるのかもしれない。


私が2階からトイレに行ったり、飲み物を取りに行くたびにわざわざついてくる。2階からでも私が1階にいる気配は感じられるだろうに。これが群れる習性か。そう、我が家では私とマンゴー殿の2匹の群れ。

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私が夜、映画を観ている間も私のことをチラチラ観ている。暇だね。ほかにやることはないのかね。

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あと10年のうちにお別れが来ると思うと淋しい。もっと記憶に残るような思い出を与えたいと思っても、どこか犬連れ可能なホテルに連れて行くよりも慣れ親しんだ自宅で私の膝の上に乗っている方が幸せそうにも思えてしまう。何が望みか伝えてくれたら、と思う時もある。


3ヶ月ぶり近い作陶。蟲・羊鉢への釉掛け

単に緊急事態宣言が明けただけでまだコロナ禍が去ったわけでもないから気を緩めてはならないのだけれども、陶芸工房の利用が再開されたのは嬉しい。回復への兆しと捉えている。


少しづつ取り戻していきたい。

友人と酒を酌み交わす日常。

同僚や部下と食事に出かけて話を聞く時間。

美術館や街巡り。

家族全員での外食。

夏祭り。

実家への帰省。

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小窯で素焼きしたまま放置されてほぼ3ヶ月が経っていた。それをようやく窯出しする。素焼きは状態良好。

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早速の計量は3kg近い、2500円ほどの出費からのスタート。

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経過を撮ろうと思っていたが気付いたら終わっていた。羊鉢が2つに蟲鉢が4つ。マグネシヤマットが殆ど尽きていて、バケツの横の乾いた状態のものをこそげ落としてかき混ぜて掛けた。網濾してないのでダマがそのままだが今回はそれがどう残るのか実験してみる。所々盛り上がるだろうか。

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右のムフロン羊はなかなか優しい顔つきに作れて満足している。左のマンクスロフタン羊は少し凛々しい感じか。何を植えようか悩ましい。

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左に蝉の前半身の鉢、右にイキッた鍬形虫鉢。鉢に添わせるならばもっと現物のように細い脚にした方が良いのだろうな。しかし多肉植物を植えると日照や気温に応じて鉢の移動をすることが多々あって、あまりに細いと軽くぶつけただけで破損してしまうので最低限の強度を持たせたい。もう少し最適解への試行錯誤が必要。

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こちらは兜虫が2匹、シロカブトとヤマトカブト。久しぶりに見ると造形に課題が多い。壊して作り直したい衝動に駆られるが素焼きしてしまっているので今更土に還るわけでもない。シャモットになるまで粉砕するのも面倒なので取り敢えず最後まで仕上げよう。

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アイベックスのような角をもった氷河期の絶滅種のような山羊。取り敢えずがっしりとした低重心で安定感のある鉢にしたかった。

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姫春星のようなサボテンをもこもこと群生させて背中に背負わせたいと思って作った。角の存在を目立たせたい。ちなみにこの山羊には致命的な欠損がある。

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そして最後は呑んだくれ羊。そういや、羊は酒を飲むだろうか。松坂牛や神戸牛はビールを与えて肉質を柔らかくするという。羊はどうかわからないがビール粕を飼料に混ぜて与える羊農家はあるそうだ。胃の中の微生物が活性化して消化力が強まり食欲増産剤としても良いらしい。

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羊は間違ってもこんな座り方はできない。なんだか私の願望が投影されすきた作品。毛皮はマグネシヤマット釉、着ているボロはマグネシヤマット釉をかなり薄めに希釈したものを筆塗りしている。盃を赤にしようかと思ったが、植木鉢なので色は抑制的なほうが良いと思いとどまった。

黒法師や夕映のような傘状になるアエオニウムを植えたい。

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1230℃の灼熱で強く焼かれてくれい。


これを仕上げたら何の制作を始めようか。