伊東では昼は寂れたラーメン屋に入った。代わり映えのしない特徴のない古くからあるようなラーメン屋だったが、もっちりとした手打ち麺はルーマニア人の気に召したようだ。味噌よりも醤油味だとのこと。餃子、炒飯も口にあったようだ。
麺を食べる時は音を立てて啜るもんだぜ、と教える。外国人は麺を啜る際に音を立てられないなどとテレビ番組でやってたが、彼らは「え?そうなの?派手にやろう」といとも簡単に盛大に音を立てて啜った。楽しいらしい。テレビ番組はいつだって適当だ。
晩飯は大通り沿いのガイドブックに掲載されていて有名な海鮮丼の店を考えていたが、電話して当日予約をお願いした際のつっけんどんな断り方、店の前に芸能人が訪れた際の写真を並べ飾っている様などからして、ルーマニア人に体験さて欲しいもてなしはここには無いように思えた。そこでぶらりと商店街の中を歩いて見つけた「まるげん」へ。
あまりお腹が減っていないかも、などと言っていたが、茶豆の美味さに食欲が刺激されたようだ。これはビールが止まらんな、と。スパイスが沢山入った牛もつ煮込み、金目鯛の煮付け、鯖の竜田揚げ、海鮮丼、刺身盛り。どれもこれも美味い、美味いと箸が進む。お新香も辣韮もルーマニアに少し近い食べ物があるといって楽しんでいた。唯一女性のほうが嫌いでも無いが、あまり好みでは無いと言っていたのが味噌汁。味噌汁はあかんのか。意外だな。
ベルギーに数年住んでいたこと、魚料理を食べ慣れていること、首都ブカレストで寿司も食べているので生の魚にも抵抗が無いこと。そんな背景もあって味覚は比較的近いようだ。自分が美味しいと思うものは大概、彼らも楽しんでくれる気がする。
満腹になるほど食べたが、腹に重たく感じ無いのが不思議だと言っていた。これが、日本料理はヘルシーだということか、と腑に落ちたようだったがさすがにこんな食べ方を滞在中続けたら太るだろうよ。