井の頭公園の中にある北村西望の銅像。畏怖を感じさせる鬼が何かを投擲せんとする瞬間を切り取っている。鬼にはカッコ良さや親しみやすさはなく、理解し得ない、対話もできない、制御もできない何かを思わせる。緑溢れる公園の中でこの作品だけ異質だった。
手に握り渾身の力で投げようとしている塊には「核爆弾」となぐり彫られている。
長崎の平和記念公園像の作者でもあるだけにそれとの関連性を思わずにはいられない。軽く目を閉じ穏やかな表情の平和記念公園の坐像よりもこちらの鬼の像の方が原爆とはどんな存在かを突きつけていて目的に沿うように思う。この像を見ても鎮魂されることはなく、重苦しい空気が延々と残されるが。
国会議事堂の前に置くに最適ではないか。