完成後に振り替えると眼が大きすぎたかもしれない。顔の先がとがり気味に作っていたのだが
焼成後には釉薬が顔の先に垂れてきて埋まってしまった。大きすぎた眼もよくわからなくなっている。素焼きの状態では立ち上がっていた右翅が焼成時に溶けて下がってしまった。結果として片方だけ上がっているよりも両翅とも下がっている方が良かったのかもしれない。釉薬が掛かった翅の重量を細い翅の付け根では支えきれない。次回に多様な構造のものを作る際にどうしたらよいものか。
ディテールが失われてしまいはしたが、うまく素地の黒土が透けて見える蚕蛾が焼き上がった。大きな触覚の微細な毛の雰囲気が残ったのは良かった。
底の縁に撥水材を塗るのを忘れていた。釉垂れしてしまっていたのだが、幸い簡単に棚板から外れてくれた。失敗からの僥倖で飾った際にもまるで粘性の高い液体のように見えて面白い。
組み合わせた植物は「シルバーブルニア」という南アフリカの植物。見かけた際には「これしかない」と思える、ホコリカビや冬虫夏草の子実体を思わせる花の形状。そして蚕蛾のイメージに沿う白。同じく南アフリカの似た形状の花バーゼリアだとしばらくして花弁が開いてしまい、球のまま残らなかった。
これですでに数週間干してドライフラワーと化している。つまりここから色も形もかわらない。乾燥した花材を挿し込んでいるだけなので、水やりも要らないし、陽に当たるところに置く必要もない。つまり陽の当たらない本棚や室内の飾り棚にもおけるというわけだ。いろいろと理想的な素材に出会えた。
「シルバーブルニア」が大量に欲しい。売っている店も売っている時期もよくわからず、見かけたら買っているが1枝800円もしたりするのだよな。苗を手に入れて育てたいのだが、苗はもっとみつからない。