惜しいカマキリ。破損の数々 素焼きから釉掛け、本焼成へ

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15品で臨んだ素焼き工程。
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素焼きでは破損することなく無事に焼き上がった。収縮率の異なる土を組み合わせているため剥離したり一部が落下して割れたりすることは十分にある。
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そして鬼門なのが釉掛け作業。素焼きしただけの状態はびっくりするぐらい強度がない。そもそも接合部がかろうじてついているだけだったりするからもつ部位を間違えるととれて本体が落ちる。

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やってしまった。不注意で2品破損。しんどい。一つが倒れ、もう一つを巻き込んだ。

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さらに今回、楽しみにしていたカマキリも釉掛け段階で破損して廃棄。さようなら。手跡のある粗さとディテールのバランスが良いと思っていたのに。顔を単純に三角形に作らず口吻の機構を適度に作り込んだお気に入りの一品だったのに。

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土台の鉢を作って削って整えて保湿して
蟲を乾かないうちに一気に造形して
収縮率の異なる土の乾燥状態調整して
菌糸体のにょきにょきを加飾して
2週間乾かしてから素焼きして
ヤスリ掛けして土肌を整えて
菌糸体に釉薬を筆塗りして
それに撥水剤を筆塗りして
さらに全体に白い釉薬を柄杓掛けして
それでもって釉掛け時に崩壊。

この段階だと材料は再利用できない。材料費、作業時間、焼成費が無に帰してしまう。f:id:mangokyoto:20240616135340j:image

カマキリや蟲に馴染みのない人にはカマキリの鎌って先が尖っているだけのイメージだと思うが、符節という脚先がついていて歩いたりする時に使い、戦う時には折りたたむ。その符節が私としてはチャームポイントだと思っていてそれを翡翠色の菌糸体の前に白く細く目立つように表現したいと思っていた。そういう様々な思案が一瞬で消し飛んだ。
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朝7時から1日工房に篭って失敗だらけで意気消沈の日。やらないといけない本業の持ち越し残務を処理しないといけない。きつ。
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期待を超える焔の気まぐれを見せてください、窯の神様。