京都市美術館 院展

日本美術院の再興第95回院展京都市美術館に見に行ってきた。


東京美術学校を排斥された岡倉天心を中心に橋本雅邦、六角紫水、横山大観、下村観山、寺崎広業、小堀鞆音、菱田春草、西郷孤月らが結成、後に再度再興した日本美術院の春秋2回行われる作品展である。


春の院展が小さな作品を中心とする分、秋の院展は一メートルを超える迫力のある絵が多い。過去には上村松園平山郁夫らが名を連ねた作品展でもある。将来の大家の作品があるだろうか。


出品者には序列がつけられており、無鑑査といって過去の実績を元に無審査で出品できる一方で、同人となると毎年絶え間なく出品することが求められると言う。名の知れた作家に甘い、内輪の集まりにならぬようにした工夫なのだろう。


内閣総理大臣賞、文部大臣賞はいずれも海外の情景文化を題材にしたもの。それ以外にもトルコやインドなど海外を題材にした入選作品が多かったように思う。詳細な技法やら芸術性は理解できないが、単純な好みで言えば、内閣総理大臣賞、文部大臣賞を受賞した作品はあまり好きではない。見入ることも無かったし、目の前を数分で歩き過ごしてしまった。芸術はわからんね。


観て気に入ったのは以下の作品。
廣田晴彦氏「雷天」。イラストっぽくもあるが、突如雷が鳴って雨が降り出した際のあわてて走る感じが共感できる。簡素な色使いの中で猫が写実的でかわいらしい。至近距離で観ても粗くない繊細さ。


岡部巌「煌」街路樹の根元を保護する鉄格子だろうか。コントラストが強く、日常の印象に残る一景を絵にしたような作品。


那波多目功一「燦燦」同人作品の脇には作者のコメントが紹介されている。菊が咲いたとのことで知人から写生の誘いを受けたが、実際に訪れてみたらまだ菊はどれも蕾のままだったという。しかし月に照らされる様に魅入られて作品にしたとのこと。咲いても無いのに咲いたと伝えた知人はなんとも適当な。白い花びらが浮き上がり幽玄。


梅原幸雄「漫ろ」脂っこくない、清楚な美人画。顔つきは現代的な美人。

石村雅幸「神代桜」桜をあえて花咲く時期ではなく青葉の茂る時期に写生して作品にしている。その古色の出た樹肌の表現が好み。色がうるさくなくて巨大な作品にもかかわらず部屋に飾ってもよいと思える。


出口では院展入選作品の絵葉書が売られていたが、自分の気に入った絵はいづれもなかった。残念。


小川国亜紀 「流紋」は展示されていなかったように思う。ちなみにこれも日本画の分類に入るのか。何をもって日本画と呼ぶのかいまいちわからない。