10月は例年以上に葡萄を食べたように思う。これも一重にスーパー「オオゼキ」のおかげである。
あれこれと様々な品種を食べ比べて学んだ成果として、自分が来秋に盛り合わせを造るならばどうするかを考えてみた。ピオーネ、アレキサンドリア、クイーンニーナを組み合わせる。黒、赤、緑の組み合わせで見た目にも楽しく、異なる方向性の味も食べ比べられて愉しい。
恐らくは上の黒いのが藤稔。ずるりと剥ける皮の食べ易さと、その際に口に広がる果汁の甘味の強さ。しかも迫力のある大玉で皮も美しい。その普通ならざる特徴の数々に、えらく贅沢な気分にさせてくれる葡萄だ。
ピオーネは酸味がもう少し加わり、芳香が豊かで良い。味だけで言えばピオーネは藤稔にも巨峰にも勝るのではないか。
巨峰は小さかった頃には贈答用の果物という印象だった。手頃に食べられるデラウェアと対比するところの贅沢品、巨峰。それも30年が経ち品種改良が進んだ今となっては名ほどに粒が大きいわけでもなく、甘味が他に勝るわけでもない。字面でメンツを保っている旧世代品種と思えなくもない。
その右にあるのはマスカット・オブ・アレキサンドリア。太古から伝わる葡萄品種で国内では岡山以外に土壌や気候が合わず、殆どが岡山で作られる品種。名前からしてイカツイが、いわゆる本家本元のマスカットというやつだ。酸味の強さが爽やかさを際立てる適正量で瑞々しい食感。
今秋の発見の一つがこのクイーンニーナ。安芸津27号の27と安芸クイーンを名実ともに交配した作出品種で、クイーンは女王、ニーナは女の子の意なので名前としても秀逸ではなかろうか。粒が17g前後と大きい。甲斐路よりも発色の綺麗な赤葡萄。味は巨峰よりも甘く、巨峰よりも酸味が少ない。他に例がないぐらい甘さ特化型に尖った葡萄だということ。剥きやすく、種もなく、香りが高く、果肉も大きい。甘過ぎて量を食べられないが、デザートとして苦い珈琲を飲みながら摘むには魅力的。
小粒な品種、ナイヤガラという青葡萄も甘くて美味しかった。食べていると少しイガイガとした後味が喉に残るのは何だろうか。
瀬戸ジャイアントは皮ごと食べられる葡萄だが、実態は皮を剥くことができない。果肉は美味いが皮の分厚い食感と苦味がいまひとつ。