5月以来の御岳山になるが、今度は山楽荘という宿坊に泊まった。
・新宿から2時間の近郊
・門から神社のような佇まい
・画聖川合玉堂や北村西望の書画があふれる
・御岳産の山菜や野菜、鮎、猪や鹿を用いた美食
・朝に宿坊で参加できる神道式お勤め。
・神札や一人一人に描いた色紙付き
・気さくな神主があれこれお話をしてくれる
・蔦で覆われた廃墟・秘湯好きが好みそうな風呂
・画聖川合玉堂や吉川英治の投宿した部屋
・投影スクリーンがあり、会議利用可
・滝行申し込み可
・一泊二食1万円
御岳山の中でも評判の高い宿坊で興味があった。今回は会社の同僚8人との社員研修に使わせて頂いた。
門構えからして他の山荘とは一線を画す。まるで神社の境内施設のひとつであるかのよう。
神棚のある大広間の隣の部屋を午前中4時間ほど会議に使わせて頂いた。炉が切ってあり、長寿の亀の屏風や襖絵などが置かれた和の風情溢れる室礼。大きなプロジェクタースクリーンがあり、持参したプロジェクターとパソコンで資料を投影することができて助かった。
外国人を含めた同僚との社員研修の場としてはかなり面白いかもしれない。1人1時間400円なのでそこらへんの貸し会議室よりも安い。お茶やお茶請けの和菓子も付いていた。
宿泊させて頂く部屋として案内して頂いた2部屋は「玉堂の間」と「英治の間」。男性陣は「玉堂の間」へ。画聖川合玉堂が毎夏、1ヶ月ほど滞在されていたのだとか。
年季の入った木枠の一枚硝子窓が4面。外の緑を額面のように取り込んで美しい。天井は写真を撮り忘れたが、艶光りのする今となっては手に入らない欅の一枚板が並べられている。そして部屋の格調を引き上げているのはなんといっても御簾だと思う。
他の男性同僚は内装には全く興味はない様子。私は1人、心の中でここもすごい、こちらもすごいと感嘆して盛り上がっていた。
部屋の脇には3畳ほどの区画があるのだが、そこが擬洋風というか大正風な和洋折衷に設えある。ビロード張りの2人掛けの椅子に格子の桟のついた障子木枠。触れなければならんのは壁紙の紫にカーテンの黄緑の色合わせ。唸らせる。かなわん。なかなか怖くて組み合わせられない色だが宿のようなドラマチックな非日常の空間演出には素晴らしい。インテリア好きのカップルには盛り上がる空間ではないか。インテリア好きの外国人にも、斬新な和洋ミックスかもしれない。
ビロード椅子の区画だけは天井も杉で窓も縦長の洋窓がはまっている。照明は和にも合う直線的な意匠のステンドグラスランプシェード。
玉堂の間と呼ぶにふさわしく、画聖川合玉堂が投宿し、自身の作品が飾られてもいる。大口真神を祀る御犬様信仰の地でもあるだけに、犬の絵も飾られているのだがこの絵はなんとも愛敬に溢れている。御簾の吊るされたような和室だが、これが掛けられていることで硬すぎない、真面目になり過ぎない空間になっているように思う。
嫁さんは私が金持ちになると変なものをアレコレと買いそうだという。何を言ってるのだか。私が金持ちになったならば、我が家にこのような和室を再現するのにお金を注ぎ込む。
続く