春は咲き競う鮮やかな花に目が行きがち。私は地味で控えめだけれども、よく見れば見るほど、言うほど地味ではなくむしろ鮮やかで美しい紅葉の若葉が気になる。
「乙女桜」は徐々に葉脈に緑色が入ってきてさらに美しくなる。秋の紅葉はクロロフィルの消失とアントシアニンによる老化の赤だけれども、この芽吹く紅い葉はメカニズムが違う。鮮やかな紅い葉に瑞々しい緑の葉脈が組み合わされるのは春紅葉ならではの美しさと言っても良い。
「青柳」の細い葉も違いが際立って両者を並べるのが好み。線香花火の印象がある。
2年前の記録が出てきた。秋に季節外れの新芽が出てきた際に他のモミジ品種の紅葉と比べたが、やはり一番美しいのはモミジの紅葉よりもモミジの若葉だった。
実生で育てている「爪紅」。京都の南禅寺、大徳寺、疎水などで採取した種の混合実生鉢なのだけれども、さすが紅葉の都。選抜されたような苗ではないけれども見事な縁取り。
切れ長なものやら、葉の形があれこれ違うがどれも伊呂波型の葉形。
「鴫立沢」。思わず、取り寄せてまでして植えた個性の際立つ涼しげな品種。植えた場所の陽射しが強すぎて盛夏には毎年、チリチリにさせてしまう。もう少し樹勢が強くなって下枝に影を作れるようになれば秋まで楽しめるようになるかもしれない。
若い紅葉の枝を切って書斎の机に飾ると部屋が華やぐ。