ポルディ・ペッツォーリというミラノの貴族がオーストリア支配時に対抗して国外を転々としながら各地の美術に触れ、その後50年掛けて美術品を収集しミラノ万博に合わせてペッツォーリ家の私設美術館として開館した美術館。
そのペッツォーリ当主のこだわりを凝縮したのがこの「ダンテの書斎」と呼ばれる最も奥まった部屋。
ステンドグラスの精巧さに口が半開きになる。貴族のプライベートコレクションは学術的価値や表現の歴史的価値よりも鑑賞的価値に全振りした作品が多く、私のように単に美しいものが見たい人には貴族のプライベートコレクションのほうが見応えがあると思っている。
ステンドグラスの絵付けも段違いな精巧さで引き込まれる。
教会に嵌められた遠くから眺めるそれらとは一線を画す作り込まれよう。
単なる作品として陳列されているわけではなく、部屋の装飾として全体が一貫したテーマの元に作り込まれている。
部屋の片側にはペッツォーリ当社がお気に入りの美術品を選りすぐって陳列した棚が設けられている。
「好み」が透けて見える。
溜息の出る濃密な空間。