醍醐寺で眼福

三宝院の普段入れない座敷で庭園を観ながら御薄を頂く。床には太閤が花見に使ったという総金箔の天目茶碗に秀吉に御伽衆として仕えた落語の始祖とされる曽呂利新左衛門の書のお軸。金蒔絵の施された棗には利休好みと説明がされていたが、侘び茶を旨とした利休はそんな華やかなものを好んだのだろうか。素人には判らず。



三宝院、五重の塔や金堂を拝観し、奥の弁財天堂へ。ここは池面に映る紅葉が美しく、どの季節に来ても見事。花は咲かずとも楓の新緑だけで十分な華やぎと清涼感がある。


霊宝館の中で、雨月茶屋の仕出し弁当を頂いた。国宝の薬師三尊像の前で呑み食いさせてもらっても良いのかね、などと思いながらも目の前にある俵屋宗達の代表作である舞楽図と扇面総図の屏風に気を良くした。


手土産には座主の筆による色紙が同封されていた。醍醐寺の美術品の収蔵数には驚く。国宝41点、重文7000弱。しかも仏像は好みのものが多い。


そう言えば太閤花見の折りの秀吉直筆の短歌の筆致を見て、百姓出身で戦に明け暮れた秀吉がこんなに達筆だったのかと驚いた。四百年以上昔の贅沢な宴の残り香。