大原の里

大原の温泉旅館に泊まった。1泊3食付きで9000円ほど。悪くは無いのだが、割高感は残る。


道向かいの雲井茶屋という味噌の専門店も経営しており、大原の里に泊まると夜は味噌鍋を味わえる。味噌鍋自体はそこそこ美味しいのだが、学校の合宿所の食器のようなプラスチックの急須や如何にも安物な皿が勿体ない。業務用の1升炊飯器から自分で盛る方式で、ますます合宿気分だ。料理は味だけでなく目でも楽しむもの。プレゼンテーションも重要なのだと実感する。


肝心な風呂はここ数十年に掘削した温泉で自然湧出温泉ではない。だからか、露天の五右衛門風呂は循環加温式で塩素の臭いが強い。折角の温泉でも最後にシャワーで湯を流さないといけないのは残念だ。しかし紅葉を見上げ、水面に浮かぶ落ち葉で遊びながらのんびりできるのはよい。


部屋は胸踊る要素は何も無い。床の間も無く、ささやかな装飾品も無い。布団は客自らが敷く方式で、アナログ式の小さなテレビがあるだけ。畳も古いままで、寛ぐ部屋というよりはただ寝るだけの部屋。


部屋の畳を新しくしたり、食器を味わいのある陶器にしたりしなくとも客数は変わらないのだろう。観光客の目的はそこそこの値段で大原の観光地に一泊すること。天然温泉を謳い、三食付いており、大きな不便は無い。実際よりも広告の写真は随分とよく映っている。遠方から三千院寂光院目当てにくる客は連泊もしないだろうし、そうリピートする客もいないだろうから、一見客狙いで商えば事足りる。


布団もセルフ。食事も食材を切るだけの鍋で、御飯やお茶もセルフ。経営上は効率的で良いのかもしれないが、宿として客をもてなすことに喜びを感じているような気配がなくて残念。民宿ならば、設備が立派でなくとも、温かみは欲しい。



向かいの雲井茶屋で出された味噌きのこ饂飩はきのこが山盛り入っており、豪華な饂飩入り味噌汁のようだった。じゃらん等で予約すると宿泊者にはサービスで付いてくる。