馬 遠足


息子に世の中を見せるべく、先々週末は若い友人仏画師二人が描いた千手観音、白衣観音や各種曼荼羅を観せに連れて行った。今週は京都競馬場にて一流のサラブレッド馬とジョッキーの戦いを見せる。


京都競馬場は授乳室、キッズルームを備え大半が禁煙なので子連れにやさしい。15歳未満は入場料無料、大人は入場料200円。設備は比較的綺麗で芝生の観戦席では家族がシートを敷いてピクニックしている。乳幼児家族もちらほらとみかける。



久しぶりに競馬場で観戦したが、競走馬の美しいこと。絞り込まれ、ガラスのような繊細さをもつ芸術品。



未勝利や500万下が中心なので、実質的にレースに参加できていない若い馬やレース実績のない馬が混じっている。パドックで蛇行する馬や涎を垂らして落ち着かない馬なんかもいる。



息子には馬の蹄の音、馬糞の臭い、馬の嘶きと人々の嘆き声が新しい刺激になったのでは。


繫殖用や乗馬用に生かされる以外の9割以上の美しいサラブレッドが人間の娯楽に使われた後には食肉処分にされる現代のコロッセオ。今日、驚異の差し脚で輝いていたあの馬も、ゲートイン後も暴れてしまってレースにならなかったあの馬も。。。浜の大魔神佐々木が馬主の馬が勝利し、ウイニングサークルに来ていた。彼は走らなくなった自分の馬をどうするのだろう。


一年のうちの一定期間の週末だけしか開催されないのに競馬場の設備は随分と立派だ。潤沢な収益金を引退後の競走馬の保護に使えないものなのかね。また、極端に勝利馬にしか賞金が出ない構造が一攫千金を夢見て馬をすさまじいスピードで生産し消費し処分する構造を生み出しているように思う。


例えば予後不良や病気などの理由以外での処分を原則禁止し、生産馬数を登録制か割当制にして絞り、出走することで馬がギャラを稼げるような仕組みにはできないものか。足の遅い馬同士でも競馬賭博は成立するし、一流サラブレッド間のほんの僅かな遅速などわからないほどに彼らの走りは素晴らしいのだから。