100選に加えたい映画が2本。
侍タイムスリッパー ☆☆☆
見かけない役者さんばかりだと思ったが監督が2600万円の私財を投じて撮影したインディーズ映画だという。江戸時代の侍が現代にタイムスリップして太秦映画村で時代劇の復興に意気込む話なのだが、ちゃちさがなく、ほろりと来てとても楽しめる。殺陣のレベルの高さも必見。これで10億円以上の興行収入を納め大成功したそうだ。監督の狂信的な視座の高さと映画愛を感じる。
CGばかり多用して制作費50億円だの100億円だのかかった昨今の凡庸なハリウッド映画よりも圧倒的に面白かった。モノづくりに希望を与えてくれる。
Last Mile ☆☆☆
あまりにAmazonを彷彿とさせるDaily Fastという外資系巨大ECの設定が秀逸で愉快だ。羊急便というクロネコっぽい設定も。
1.Gain loyalty 信頼を掴め
2.Action over Inaction 必要なリスクもある
3.Go big 大胆に進め
4.No limit 限界は自分で決める
5.Responsibility 自らの責任で行動を
6. Customer centric すべてはお客様のために
7.Accountability 行動の結果に責任を
8.Details matter 細部まで把握する
9.Various viewpoints 多角的な視点で
10.Lifelong learning 成長する努力
11.Challenge others 反論する勇気
12. Lead to result 結果を残す
微妙に捻ったAmazonのleadership principleのアレンジに風刺というか毒が盛り込まれていて良い。Customer Centricというマジックワードでさまざまな会社都合を正当化するという皮肉も効いている。
世界規模のECサイトが悪者でなくなれば良くなるかといえばそうでもない。そもそもなぜこれだけ大きくなったかと言えば顧客ニーズがあったからにほかならない。車は運転できず買物に行くことが困難な買物難民の問題、実店舗に品揃えが乏しくどこにいけば商品があるのかわからない不便さ。
単品買い単品配送が構造的な最大の間違いだと思う。お客さんが多少の利便性を我慢してまとめ買いすれば配送単価も上げられるし、企業の収益性も維持改善できる。
廃業したヒノモト電器の質の高い洗濯機が敗残者の郷愁のようで哀れみを覚える。
Lee ⭐︎⭐︎
伝説的な第二次世界大戦の女性戦場カメラマンの伝記映画。
結局のところフランス人、イギリス人、ドイツ人、アメリカ人の違いが外見からはわからない。そんな彼らが殺し合った歴史。
冒頭の「ドイツ人もさすがにヒトラーの人を見抜くだろう」といった感じのセリフに恐ろしさを感じる。第二次世界大戦の数年前に近づきつつあるような世相に恐ろしくなる。
ブルーピリオド ⭐︎⭐︎
原作に忠実な実写化で好感が持てる。合格までの葛藤や成長に息子の受験のヤキモキとする日々を思い出していたたまれなくなる。
今にして思うのがたかだか大学の為に何年も何年も留年して挑んだり、不合格になったからといって藝大に対してコンプレックスを持つ馬鹿馬鹿しさよ。自分の作風を確立してアートで生きていく大学卒業後の道のりの方が遥かに困難だというのに藝大に入学したプライドと在学中に芽が出ないことに挫折して制作から離れる人が多いことの滑稽さよ。
作中の絵があまり心動かされないのがほんの少し残念。
彼が眞栄田郷敦か。良い役者になっていきそう。
グラディエーター2 ⭐︎
デンゼルワシントンの呂不韋っぷりが見事。皇帝への怨みと怒りを密かに隠し持つ彼の生い立ちスピンオフも観てみたいと思う。
善良と傲慢
虫唾の走る優柔不断さとひ弱さ。勝手に早とちりして傷ついて一方的に謝って。弱った時に気を持たせてチャンスが来れば掌を返して捨てる。言葉とは裏腹に自分の価値を高く見積もっている嫌いなタイプの女。
ザバイクライダーズ ⭐︎
アウトローなバイク集団の退廃的な物語。暴力で周囲を組み伏した者がやがては暴力で組み伏される。
ジョーカー フォリアドゥ
刺されて死んではジョーカーではない。そもそも何を描いた映画なのか。
アンブロークン ☆
なぜ今更こんな映画を撮るのだろうかと思って観ていたが、最後数分で一気に心動かされた。史実の物語を映画にして広めることに映画の価値はある。
アンジェリーナ・ジョリー監督。
ザペンギンアンドザフィッシャーマン
ジャンレノを久しぶりに見た。ペンギンを車で内陸に連れ出して、そこから意図的に逃げるに任せて「適応力が高いから大丈夫」という適当さ。野犬などの外敵に襲われる心配をしない短慮のご都合の良いストーリーが残念。
助成金を獲得して研究したい上司でもなく、ペンギンの幸せを思っているかのような発言をする中途半端な女性研究者が1番のクズという構図。実話を元にしたとはいえ、膨らませるための脚本が稚拙で残念。ジャンレノは脚本を読んでなぜこんな作品に出ようと思ったのだろうか。ジャンレノが出演するものだから大人も唸らせるヒューマンドラマを期待してしまったが子供向け映画だった。
BAD BOYS RIDE OR DIE
ウィルスミスの老けなさが異常だ。あの馴染みのテーマソングがバラードアレンジばかりなのが残念。アドレナリンが出るような速いビートでかけてほしかった。
何も考えずに見られるアクション娯楽。
最速の栄光へ
バイクレーサーとして夢破れた生物学上の父と前科持ちでバイクレーサー以外に希望を見出せない出所したばかりの息子。
コットンテイル ⭐︎
パトリックディキンソンという英国の監督作品、リリーフランキー、錦戸亮。
迷い込んだ旅行者をもてなし泊められるようなホスピタリティを持ち合わせたいと思った。家族といえど思いを普段から伝えねばと思った。
Wolfs
ブラッドピットとジョージクルーニーが演じるプロの始末屋。歪み合い張り合いつつも協力し合うツンデレ相棒モノ。ジョージクルーニーは渋オジになってから老けないな。一匹狼の複数形だからWolvesではなくWolfsということか。
ヴェノム
マーベルコミックスの映画化。いろんな種類のベノムみたいなやつに乗っ取られるのか。Tシャツに住み着いたカエルとか、「うしおととら」とかそういう系統の漫画作品。凶悪なバケモノが取り憑いた設定の漫画は凶悪らしさが失われてしまってパンチが足らなくなりがち。最後までキワキワの凶悪さを出してくれた方が面白くなるのでは。
52ヘルツのクジラたち
ヤングケアラーや虐待を持ち出して社会的テーマに根差した重厚なドラマを装いつつ物語は始まるが、みるみるメッキが剥がれていくどうしようもない安っぽい演劇。少女漫画のように都合の良く自分を取り合うイケメン同士の諍いや怒鳴り突っ伏し泣き喚く騒々しさは韓国ドラマを意識した演出なのか。観るにつけ、自殺か記憶喪失がいつ出てくるのかと冷めていく。
こんなしょうもないメロドラマにヤングケアラーや児童虐待の問題を持ち出して欲しくない。大勢が自分の非を棚に上げて被害者ぶって騒々しい。センシティブな問題を薄っぺらく扱う様に怒りを覚えた。
10代ぐらいの若い人が好きな俳優目当てに雰囲気で見て悲壮感を楽しむための映画なのだろう。流石に包丁シーンで耐えれなくなって鑑賞中止。自分は対象者ではなかっただけだと思う。罵詈雑言で申し訳ない。
Back to Black
2011年7月、27歳でアルコール依存症で亡くなっているのを発見されたエイミーワインハウス。その成功から亡くなるまでを描いた映画。
エイミーワインハウスは日本で有名だっただろうか。とても人気だったという記憶はないのだが私の関心がなかっただけかもしれない。
彼女のファンでもなければ、男に依存し、酒と薬に溺れた歌手が描かれるだけで彼女の歌詞の世界観を踏み込んで描くでもなく何も残らなかった。