パリから電車で35分の北の郊外にある街、シャンティイへ。何やら、この街は生クリーム発祥の地だそうで、そこの1、2を争うという名店「ルベルボワ」に行ってみた。
一軒家レストランとくくるには豪勢すぎるシャトーレストラン。
一人だと入れない敷居の高さ。
店内は採光が良く開放的だった。外見は数百年前と変わらずとも、中はモダンでスタイリッシュなギャップで魅せてくる。
アミューズはトコブシに盛られた蝦のスナックと濃厚なキノコの何か。何せ説明がフランス語でわからない。
ミシュランの星を獲得するには創造性が重要なのだと聞くが、なるほど。ダイコンで巻き、カラスミのスライスが乗っている想像し難い組み合わせ。でも全体として調和がとれているし、しっかりとフレンチなのだよな。
こちらは魚のフィレの上に軽く火が通された魚卵、さらにパセリをはじめとする香草。ソースはバターベースでセロリの風味が効いている。何かと美味い。
牛肉も文句のつけられない歯応えと肉の旨味。
初見で何かわからなかった緑の玉はパンに塗るためのバターだった。表面の緑はバジルと言っていたのか。
デザートにはショコラムースにスパイスが掛かっていたり、レモンだけでなく柚が合わせられていたり、食べていて楽しい。柚も日本のシトラスだの注釈をつけずに「ユズ」で定着しているのだな。次に定着していくのは「サンショウ」だろうか。
これがシャンティイ発祥の名物クリームだそうで、黒い粒々はバニラのようだ。このスプーン二匙分だけで別途5€。ミシュラン星付きだと仕方がないのか。味はとても上品でバニラの香りも高く申し分ない。
レストランの裏庭には鶏舎があった。
なんとも広大な敷地に野飼いされており、そこら中を自由に駆け回っている。雄鶏が多いように思うのだが食肉用なのだろうか。毎日客に出す量の肉を供給できるとは思えないのだが、特別なメニューとして使われるのだろうか。最後の瞬間まではストレスフリーの平飼い。
パリの郊外まで足を運ぶと、このレベルの高さの食事がお酒を飲んでも50€で済んでしまうのだよな。パリ嫌いで地方に住みたがるフランス人が多いのは分かる気がする。