作陶中に魔女の一撃

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虫鉢の素焼きが終わっていた。黒土は素焼きしても素焼き感の無い色。

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蝉の幼虫。

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花潜り。象虫の写真を撮り忘れた。雀蜂は乾燥中に砕けた。

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脚などがブラブラとしてとても繊細なので、釉薬入りバケツにどぶ漬けすると流されてしまう。そこで上から垂れ流した。

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掛かり損ねた部分は敢えて放置してみる。厚掛けしないとマグネシヤ釉は綺麗に発色しないのだが、薄掛けした部位や厚掛けした部位の違いが出るだろうか。それはそれで面白い。

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巨大なアストロフィツム柱鉢の素焼きが完了していた。なかなかの存在感。4kgもの重量があった。材料費と焼成費だけで1万円を超えてしまうではないか。

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ここの土の隆起した表情は土肌を露出させて見えるようにしたい。

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なかなか良い表情。これを活かし切れるか。

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横から見ると、幅があるが寸胴に作ってしまうと中に入れる土の量も膨大となり、重くて動かせない鉢になってしまう。そうならないように陵の谷間を深くし、存在感を出しながら容積を減らしている。

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これにマグネシヤ釉を上から何度も垂らし掛けた。2度焼きは避けたい大物なので、慎重に厚く掛け過ぎたかもしれない。南無三。


無事に焼き上がったら、エケベリアを20株も植え込める鉢が出来上がる。平家の一軒家からタワマンへ。株数が増えると3.5号鉢を棚に犇いて並べがちになるけれども、風通しは悪くなるしごしゃごしゃとして一つ一つの株を楽しむ風情にはならない。過密木造長屋街みたいなものだ。それを高層化するといろいろ解決する。まあ、某タワマン同様、タワー下部の水抜き対策は怠れない。軽石を厚く敷き、排水性には気をつけよう。安易な発想から始まっているけれども、多肉植物の立体配置は効果が大きい。


ここで、「魔女の一撃」を喰らった。腰に鋭い痛みが走り、腰の周りの筋肉が麻痺したかのように硬直して収縮する。ぎっくり腰というやつだ。そこから先はもう、何も出来ず。歩けない。立っているのもままならず、椅子に座り込んでしまった。


こんなことは初めてだった。幸い、座ると痛みはない。1時間ほど休めば動けるようになるかと思ったが、1時間経っても歩くと痛みが走る。これが、世に言うぎっくり腰か。やってしまった。英語圏では魔女の一撃と言う。筋骨隆々のヘビー級魔女がロープに反動をつけてからの腰へのドロップキック。そんなイメージ。「ぎっくり」なんてもんではない。「うっかり」「ぽっくり」の仲間のような響きの「ぎっくり」では当事者の悲壮感は周囲に伝わらない。名称変更を請う。


諦めて片付けを陶芸教室のオーナーにお願いし、タクシーを呼び、家に帰ることにした。あれこれ頭の中に描いていた作業計画は吹き飛んだ。


ほんの1メートルが遠い。ありとあらゆるところに捕まり少しでも体重を腕で支えてゆっくりと降りていく。幸にして工房に杖に使える棒があり、それを使ってなんとかタクシーに乗り込んだ。腰の曲がった80歳の擬似体験はこんな感じだろうか。重たい脚を上げることがどんなに苦痛か。可能な限りすり足で、数センチの歩みを刻んでいく。


取り敢えず、何も出来ずに寝室のベッドへ。寝転んでも仰向けになるのがしんどい。トイレに行くのがしんどそうなので水分も控える。妻がおにぎりを持ってきてくれた。


インド、韓国、中国出張中に起きなくて良かった。20kg超えのスーツケースを持ち上げて階段を登ったりとぎっくり腰になっててもおかしくない状況だった。インドの空港で動けなくなっていた状況を想像すると身震いがする。正に地獄だったと思う。助けてくれる人のいる環境で、日本でなったのは不幸中の幸い。そう思うことにしよう。


それにしても明日からどうしよう。朝までに回復して動けるようになっていればよいのだが、さもなくば仕事も忘年会もクリスマスのケーキ作りも帰省も全て影響が出てしまう。なんとも困ったことになったぞ。